スポーツ界のIT活用が進んでいる。特に顕著なのがプロスポーツの現場だ。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、各メーカーが技術開発に本腰を入れている。
例えば、体操の採点を支援する3Dセンシング技術。3Dレーザーセンサーで選手の動きを捉え、観客の邪魔にならない高精度な採点を助ける新技術が、東京五輪での実用化に向けて開発されている。
2020年の東京五輪に向け、スポーツ界のIT・テクノロジー活用が加速している。本連載では、最新のスポーツ×IT動向を知る各分野の専門家たちに話を聞いていく。
こうしたスポーツのIT化の流れは過去にも、スポーツ観戦、選手の練習方法などを大きく変えてきた。中でもここ15年ほどで日本選手の在り方が一変した競技の1つが「バレーボール」だ。
海外選手と比べて身長にハンディキャップがある日本女子バレーは、10年以上前から専属アナリストを呼び、データ活用を推進。超えられない身長差の壁を頭脳で克服してきた。
「日本女子バレーのIT活用は、世界で見ても1、2を争うレベルで進んでいる」――08〜16年の五輪で日本女子バレー代表チームの専属アナリストを務めた渡辺啓太さん(日本スポーツアナリスト協会代表理事、日本バレーボール協会 ハイパフォーマンス戦略担当)は話す。
実際、代表チームの練習場である味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)では「ブロックマシン」と呼ばれるロボットを導入。タブレット端末と連携し、世界のトッププレイヤーのブロック動作を再現している。そんな練習相手が存在するのは「おそらく世界で見ても日本だけではないか」という。
テクノロジーを武器に、10年の世界選手権と12年のロンドン五輪では銅メダルを獲得した日本女子バレー代表チーム。だが、いまでこそ“IT強者”とされる日本女子バレーも、「2000年頃は世界に後れを取っていた」(渡辺さん)。そんな日本は、女子バレー界でいかにしてIT先進国の地位を得ていったのか。
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