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高性能なPCほど省エネになる? 業務効率化とエコを両立するPC選びのテクニック“中の人”が明かすパソコン裏話(2/3 ページ)

» 2017年08月01日 07時00分 公開

 ここで例え話をしましょう。五輪やワールドカップで活躍するアスリートの脳を一般の人と比較すると、アスリートは脳の負荷をかけずにほとんどの基本的な動きを行えるそうです。その分、他の動きにリソースを使えるため、普通の人に比べて非常に複雑な動作を素早くこなせるといわれています。

 アスリートの脳の仕組みをPCの話に置き換えると、プロセッサ(CPU)がそれに当たります。アスリートのそれと異なり、残念ながらCPUは訓練やトレーニングによって機能が向上することはないので、性能を上げるためには機器の入れ替えが必要になります。

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 そんなに高性能なPCは必要ないと思われるかもしれません。しかし、皆さんがすでに体感したり利用したりしている通り、最近のWebサイトには動画があふれています。商品をより効率的に見せていくためには写真と文字だけでなく、その商品の「利用体験」を分かりやすく説明できる動画が適しています。

 この傾向はますます進んでいくでしょう。そして、同じものを伝えるならば他よりも良く見せたいと考えるはずですから、解像度もより高く、4Kの映像で「魅せたい」と思うはずです。

 さらに、スマートフォンでも4K動画の撮影に対応したものが登場しています。素材があるならば、それを編集するためのPCが必要になるでしょう。

photo 動画の編集など負荷の高い作業を行うワークステーション。通常のPCよりも高性能なプロセッサ、グラフィックス機能、高速で大容量なストレージを備える

 アプリで手軽に使えるようになったことで写真のレタッチも、もっと一般化してきます。オムニチャネル化が進み、オンラインストアできれいに撮影した商品写真をドンドン掲載していく必要があります。外注して時間とお金をかけるよりも、内製した方が早いと考えるでしょう。

 商品の提案もパーソナライズ化が進み、3Dスキャンや3Dプリンタの活用も進むでしょう。海外ではお客さまの足をスキャンして足の形状に合ったインソールをその場で3Dプリンタで出力してジャスト・フィットするシューズを提供するというサービスも登場しています。この場合は3Dデータをスムーズに扱えるだけの処理能力が必要になってきます。

足の3Dスキャン 足の形状を3Dスキャンして取り込んだデータをもとに、シューズのインソールを3Dプリンタで作成する

 店舗でのサイネージディスプレイも、だいぶ普及しましたが、次のステージでは、プロジェクションマッピングやホログラム、巨大な壁面全体をディスプレイにするなど、ほかとは違う「驚き」や「体験」を提供することで差別化を図っていきたいと考えるでしょう。

デジタルサイネージ アパレルショップや飲食店にマルチ画面の大型のサイネージを壁一面に設置するケースも増えている

 これらのことを実現するために、コンピュータのパワーがますます必要になってきます。

 このとき、CPUの演算性能(時間当たりで処理できる数)が注目されがちですが、CPUは主にいろいろなことに応用できる汎用的な処理性能を目標として作られていますので、例えば画像の処理に特化したグラフィックス・プロセッサ(GPU)にはかなわなかったりすることがあります。

 CPUで処理すると負荷のかかるものが、GPU側で処理する場合はCPUには負荷がかからず、その分ほかの動作に使えることになります。

 そして、4K動画など大容量のデータを高速に扱うためのストレージも求められてきます。最近はPowerPointの資料に動画を埋め込むケースも増えてきました。数年前は10MBを超えるPowerPoint資料はまれでしたが、最近は100MBを超えるものも珍しくはありません。

 このときデータの読み込みが低速なハードディスクドライブ(HDD)ではストレスが増えるでしょうから、アクセスの高速なソリッドステートドライブ(SSD)が求められるようになり、さらにSSDの中でもより高速なPCIeタイプが今後のことを考えれば欲しいところです。

 このように、エネルギー消費効率の高いPCを選択することで、結果的に待ち時間の短縮や、ストレスの軽減などにつながります。そして、結果的に仕事自体の効率化が見込める可能性が高まります。

PCを省エネに使うテクニックとは

 PCを省エネに使うテクニックもいくつかあります。

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