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高性能なPCほど省エネになる? 業務効率化とエコを両立するPC選びのテクニック“中の人”が明かすパソコン裏話(3/3 ページ)

» 2017年08月01日 07時00分 公開
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 最も効果的な手段の1つとしてお勧めしたいのが、同時に複数のアプリケーションを立ち上げないことです。メモリが不足すると頻繁にHDDからデータを引き出すなどエネルギーも使う上、作業にも時間がかかってしまいます。

 何より、いくつもの作業を同時に行うよりも、1つの作業に集中して素早く片付けていく方が仕事自体も早くすみます。

 そして、予定表を活用して「今日やるべきこと」のリストアップと、その作業に「かかる時間」をあらかじめ予定表に記録しておくことも効果的でしょう。

予定 会議の時間だけでなく、移動時間や作業時間も入れておくことで、あらかじめ時間の見積もりができ、時間の有効活用が進む。さらに、クラウド対応の予定表ならば、同僚や上司に自分の予定を共有することができるので、チームで何かを決めるときにも空き時間を素早く見つけて調整できる。

 それでも、最近は1つのことをこなすために複数のアプリケーションを立ち上げておくことが増えていますので、メモリが不足してしまう事もあります。

 可能ならば、メモリの増設をお勧めします。メモリを8GBや16GBなどに増設することで、HDDから頻繁にデータを取り出す必要がなくなり、作業自体もスムーズに進むことでしょう。

 また、OSが古い場合は、最新のバージョンに更新することで消費電力を抑えられます。セキュリティ性能も向上するので一石二鳥といえます。

 さらに、オフィスに社員が居なければオフィスの空調や照明も使う必要がないので、テレワークを導入する手もあります。しかし、この場合オフィスの省エネにはつながるが、結果的に外出先や自宅の空調、照明は使っているだろうという声があるかもしれません。

 そのような中、「海の家」でテレワークをするという斬新なトライアルが2016年に実施されました。この場合は空調代もかかりませんし、何より海の「さざ波の音」と「風」を感じながら仕事ができますので、とても良い気分転換にもなります。今までにない創造的なアイデアも生まれるかもしれませんね。

海 海の家でテレワークをする様子。写真提供:セカンドファクトリー

 政府としてもテレワークを推進しているので、今後さまざまなステキな解決策が登場してくることでしょう。

省電力なPCを選ぶことは「手段」にすぎない

 エコを実現するためにはエネルギーの省電力化という「手段」が近道に感じられるかもしれません。しかし、ここでは省電力化という「手段」が「目的」にならないように注意しなければなりません。

 エアコンの温度設定を「28度」にしたり、PCを省エネの設定にすることは、手段の1つにすぎません。前出の通り、オフィスで利用する電力はさまざまであり、早く仕事が終わればオフィスの滞在時間が減り、結果的に照明や空調に使う電力を抑えることにつながるのです。

 そして、事業を営むという視点で見た場合、コストの削減と利益の確保、もっと広い視点でみれば事業の継続という点が非常に重要となってきます。

PC作業

 エアコンの温度設定を「28度」ではなく「26度」にすることで短時間に成果が上がるのであればそう設定すべきですし、PCも仕事の特性にあった性能の機種を選択して効率化を図ることで、最終的にオフィスの省エネも達成できればベストです。

 このように、一部ではなく俯瞰的な視点で見ることにより、大きな結果につながることでしょう。

 いかがでしたでしょうか。働き方改革や、残業削減が求められている中で、ますます効率化が求められています。最適なPC環境で仕事のスピードUPと省エネも両立できれば理想ですね。この夏、「省エネ」や「効率化」について検討するきっかけになりましたら幸いです。

※省エネルギー化が、限られた資源を有効活用するという観点で、エコロジー地球環境保全に有効であると考えられるという理解で、本連載を記載します。製造物に関しては、その製造や原材料の採掘にかかるエネルギー消費も本来は考慮する必要があると考えられるが、経済活動は一定量必ず発生しうるものとして考え、それらについても間接的に省エネルギー効果が見込まれることと、条件が複雑化することを避けるため本連載では利用時点での効果として考える。


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著者:白木智幸(しろき・ともゆき)

日本HP PC&タブレットエバンジェリスト。パーソナルシステムズ事業本部に所属し、法人向けタブレット製品のプロダクトマネージャ(製品企画)とビジネスプラン(販売計画)を担当。PCやタブレットの楽しさや素晴らしさを広くお伝えすることを通じ、グローバル化の進む現代でよりよい働き方を実現するためのエッセンスを提供することがテーマ。


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