「デザインは悪くないが、回転時間が2分程度では物足りない」――そんな言葉がきっかけで「ハンドスピナー」の開発に“本気”で取り組んでいる企業がある。
ハンドスピナーは、指先で挟んで回転させるシンプルな玩具。国内外を問わず人気が爆発している。一般にハンドスピナーの空転時間は長くても6〜8分程度だが、ある企業が開発した「サターンスピナー」は、いったん回すと12分間以上回転する。「他のモデルに負けないものを本気で作ろう」と研究・開発した一品だ。
価格は1万7280円(税込)。他社製品と比べると高額だが、ネット上では販売開始から1分程で完売。再販するたびに「すぐに売り切れた」といい、これまでに約200個を売り上げた。
そんなサターンスピナーの開発元は、日本精工傘下のNSKマイクロプレシジョン(東京都千代田区)。決して大手玩具メーカーではない。機械の回転部分の動きを滑らかにする「ベアリング」(軸受け)を製造している企業だ。
「開発当初は半信半疑だった。なぜ流行っているのかも分からなかった」――同社の石井俊和社長は振り返る。一見すると、玩具とはあまり縁がなさそうなベアリングメーカーが、ハンドスピナーにアツくなるまでの経緯を聞いた。
NSKマイクロプレシジョンの“本業”は、外径20ミリ以下のベアリングの製造だ。ベアリングは、機械の回転部分の摩擦を減らし、スムーズに回るよう促すパーツ。同社は、PCのHDDのほか、ドローンのプロペラ、コピー機や自動改札機など、回転部分を持つさまざまな機械向けにベアリングを供給している。
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