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» 2017年09月14日 07時00分 公開

東京五輪へ連れてって:体操界に遅れて来た“IT革命”――採点の常識覆す、富士通の挑戦 (3/4)

[村上万純,ITmedia]

「見えないドラマ」の発見

 「視聴者も、知識がつけばより体操を楽しめますよね。今のテレビ中継の映像や解説に加え、リアルタイムで技の名前や選手がどれだけ高く跳んだかなどを付加情報として提供したい」(藤原さん)

 「会場にいる人は、みんな体操ファンなんですよ。テレビの視聴者が『なんかすごい回転だな』と思っている一方で、会場の人は着地の突き刺さり具合なんかを見ている」と藤原さんは笑う。知識のない人でも、動きを見える化することで体操がより楽しめるような新たな見方を提供する考えだ。

体操 選手の演技を数値化し、新しい見方を提供する(画像は開発中のもの)

 リアルタイムで技名を表示させることで、結果的に負けてしまったとしても、「上位に食い込むためにあえて難しい技に挑戦し、失敗してしまったんだな」といった「これまで見えなかったドラマ」に気付くこともできる。「映像だけでは伝えきれないドラマが会場では起こっている。選手に対する愛情や親しみにつながれば」(藤原さん)。

 採点システムとは別に、3Dセンシング技術をトレーニングに活用する試みも進んでいる。生身の体で演技する体操は、スポーツ界の中でもIT導入が遅れている競技だった。

 今は、タブレットで撮影した映像をコーチが選手に見せて指導することが多いという。「トップ選手は映像を見ただけで改善点が分かるが、映像を見て分析するのが難しい選手もいる。デジタル世代の選手には、曖昧な言葉で指導するより数値化した方がイメージしやすいはず」(藤原さん)

 単に「脚が曲がっている」と言うより、「脚の角度が12度ずれている」と言った方が、選手も納得感がある。3Dレーザーセンサーを当てて体をCG化すると、いろんな角度から動きをチェックできる。日本選手のメダルを1枚でも増やすべく、代表選手やコーチにヒアリングしながら可視化する項目を確認しているという。

 この革新的なシステムは、他分野にも応用できる可能性を秘めている。

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