体操で培った技術を他分野に応用することも考えているという。「競技によって抱える課題が違うので、どの部分に応用できるかは競技団体としっかり話し合う必要がある」(藤原さん)としながらも、フィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングなど、五輪の採点競技への活用も可能性として十分あり得るとしている。
サッカーや野球のテレビ中継などで、選手たちの位置情報やボールの軌跡などをデジタルで可視化する技術はこれまでにもあったが、体の動きそのものを対象にすることはほとんどなかった。
「野球なら、打者がバットを振り切ったかどうかの判断はこれまで審判がしていたが、それもセンシングで判定できるかもしれない」(藤原さん)
フィギュアスケートにしても、コース取りなどは今の技術でも追随できるが、「個々の体の動きを認識するのはまだまだ難しい」(佐々木さん)としている。
富士通は、10年ほど前から、農業やスポーツのように人の経験や勘に頼る領域をICT(情報通信技術)でどう支援するかにチャレンジしてきたという。
「今回、日本のお家芸である体操と最新技術を組み合わせることに非常に意義がある。世界で競技人口が5000万人いるといわれる体操を通じて、健康で豊かな生活を実現したい」と藤原さんは強調する。
2020年、東京五輪・パラリンピックで体操競技の見え方はどう変わるのか。国産メーカー発の、世界への挑戦は続く。
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