プリンスホテルは9月14日、品川プリンスホテル Nタワーに10月2日から導入するデリバリーロボット「Relay」(リレイ)を報道陣向けに公開した。障害物を回避しながら室内を自律走行でき、客室のドア前まで無人で荷物を届けられる。
Relayは部屋へ荷物を届けることに特化した自律走行型ロボット。米シリコンバレーに拠点を置くロボットベンチャー企業のSaviokeが開発した。
一連の動作はこうだ。客から荷物の運搬を依頼されたホテルの受付スタッフが、PCから部屋番号などを入力して指示を出す。するとRelayは充電スポットから荷物受け取り位置まで移動するので、スタッフは荷物をRelayの荷物入れにセットする。荷物を乗せたRelayは人間が使うエレベーターに自分で乗り降りし、指定された客室前まで自走する。
客室前に到着すると、Relayは室内に電話をかける。客が電話に出ると「お待たせいたしました。ぼくがデリバリーロボットです。お届けものに参りました。ドアを開けて、お受け取りをお願いいたします」という音声が流れ、客がドアを開けるとRelayが目の前に。客が荷物を取り出すと、自動で充電スポットに帰って行く。
動作デモを見ていて不思議に思ったのは、Relayはどうやって人間用のエレベーターを操作しているかということ。Relay自身はエレベーターのボタンを押していないにもかかわらず、タイミングを合わせてエレベーターがやってきたり、目的の階を指定したりする。──このコントロールの中心をつかさどっているのは、ホテル内に設置されたオンサイトサーバ上で動くシステムの存在だ。
Relayはホテル内の地図情報を持っており、「この部屋は何階のこの位置にある」ということをあらかじめ記憶している。その地図情報に基づき、オンサイトサーバで動くシステムに目的地までの移動情報を送ると、経路上のエレベーターが連携して制御される。こうして指定した階までのスムーズな移動を実現しているという。
Relayがエレベーターから乗り降りしたかどうかは位置情報から判断。Relayがエレベーターから降りるまで、ドアを開け続けるような制御もしているという。到着時に部屋の電話を鳴らすのもRelayの位置情報を使っているそうだ。
Relayは、レーザーセンサーと3Dカメラを使って屋内の環境や現在位置を特定する技術「SLAM」(Simultaneous Localization and Mapping)を利用しているという。
プリンスホテルの武井久昌さん(専務執行役員)は、Relayがアメリカのホテル業界で革命を起こしていると知り、約2年前に開発者に声掛けしたという。「安全・信頼性の高い自律型ロボットで、新しい驚きと発見を提供したい」(武井さん)。
今後のクリスマスシーズンなどに向け、サプライズでRelayがプレゼント届けてくれるようなプランも考えているという。
(太田智美)
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