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ネットの出会いが“取り扱い注意”な理由生産的な恋バナ(2)(1/2 ページ)

» 2017年10月22日 08時00分 公開
[村上万純ITmedia]
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 「ネットの出会いは“錯覚が起きやすい”」と話すのは、これまで1000人以上の恋バナを聞いてきた恋愛相談ユニット「桃山商事」の清田隆之さんと森田雄飛さん。

 前回に続き、恋愛相談のプロに現代の女性たちが抱えるリアルな悩みを聞いた。今回のテーマは“しがらみ”の重要性について。ここでいうしがらみは、「社会的束縛」のこと。名前、職業、共通の知人、趣味、価値観、お互いの家族……見知らぬ相手と一から関係を積み上げていくには、人間関係の「基礎工事」が重要になってくるという(聞き手:ITmedia村上)。

「桃山商事」プロフィール

これまで1000人以上の恋バナを聞いてきた恋愛相談ユニット。“ずばっと言わないスタイル”で、さまざまな女性のリアルな悩みに答えてきた。清田隆之さん(Twitter)と森田雄飛さんを中心に活動。著書『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)。


“しがらみ”と誠実度は比例する

―― なぜ、恋愛において“しがらみ”が重要なのでしょうか。

清田さん しがらみと誠実度は比例するからです。「マッチングアプリで会って、イイ感じだった彼が突然音信不通になった」――この女性の例でいうと、それはしがらみがなかったからです。素性が知れていて共通の知人もいれば、そんな“ぶっちぎり”は本来できないはずです。

桃山 しがらみと誠実度は比例する(『生き抜くための恋愛相談』より引用)

―― 確かに、職場や友人の間で変なうわさが立ってしまうから下手なことできないですね。

清田さん マッチングアプリで出会い、相手の名前も仕事も知らない、共通の知人もいない……となると、関係は切りやすいですよね。しがらみは面倒で不自由ですが、例えば同僚やクラスメートとの間で恋愛感情が芽生えた場合、普通は丁寧に関係を築こうとするはずです。

森田さん ネット経由での出会いでも、うまくいった例はしがらみがあるんです。例えば、趣味のコミュニティーで出会うケース。とあるアニメ作品のなりきりチャットで仲良くなった男女が、「実際に会ってみようか」となったんですね。

―― マッチングアプリの出会いと何が違うんでしょうか。

森田さん その2人の場合は、なりきりチャットなどを通してネット上で関係の土台を作ってたんですね。実際会うときも恋愛が目的じゃないから、「趣味のコミュニティーを壊してしまったらどうしよう」などのしがらみ故に慎重になります。「失うものがあるかもしれないけど、それでも会いたい」と思って会ってるんです。

清田さん 本気で関係を築きたいと思う人に出会ったら、関係の進展ではなく、基礎工事に時間をかけるのがいいと思います。

桃山 人間関係の土台・基礎作りが大事(『生き抜くための恋愛相談』より引用)

―― そこに関しては、ネットもリアルも関係ない。

清田さん 逆にリアルでも、関係の構築をショートカットするナンパなんかは限りなくネット的ですよね。恋愛とは違いますが、よくネットで飲食店の予約をぶっちぎるみたいな話あるじゃないですか。あれだって、近所の見知った中華料理屋とかだと絶対やらないですよね(笑)。

―― それも、しがらみですね(笑)。

清田さん 「もうこの店行けなくなるかも」「店の経営にダメージを与えちゃうかも……」と想像力が及びますが、ネットでたまたま予約した店とかだと平気でぶっちぎる人が出てきてしまう。

森田さん しがらみを作っていく方が恋愛の成功率は上がると思いますが、効率は悪いんですよね。

―― 真面目に関係を築こうと思うと、時間もコストもかかってしまう……。

清田さん 出会いの市場は、真面目な人ほど不利かもしれないですね。

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