インターネット上の仮想空間がサイバー攻撃を受け、リアルな世界の交通インフラ、医療機器、さらには人工衛星まで被害が及び、コントロールできなくなる――アニメ映画「サマーウォーズ」では、そんなシーンが描かれている。2009年に「これは新しい戦争だ。」と銘打って公開された作品だが、もはや架空の話ではなくなるかもしれない。
ネットにつながるIoT(Internet of Things)機器が急増する一方、総務省、経済産業省などは、こうした機器へのサイバー攻撃の脅威が増大すると警鐘を鳴らしている。特にネット接続するクルマ(コネクテッドカー)や医療機器などが攻撃されると「生命が危険にさらされる場面さえも想定される」という。劇中に描かれたトラブルを想起させる内容だ。
いまサマーウォーズはどこまで現実に起こり得るのか。セキュリティにもアニメにも詳しい内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の文月涼さん(上席サイバーセキュリティ分析官)に聞いた。よろしくお願いしまぁぁぁす!
(編集部注)以降、ストーリーの核心に迫るネタバレがあります。ご注意ください。
世界中の人々が集うネット上の仮想世界「OZ」(オズ)が舞台。ユーザーは携帯電話、PCなどからアクセスし、自分の分身(アバター)を使ってショッピングやスポーツ観戦、さらには行政手続き、医療データの管理などが行える。アバターには現実世界の権限がひも付き、例えば水道局員なら水道の管理も可能。全世界10億人以上がアカウントを保有し「携帯電話の普及率と同じ数」という設定だ。
OZは「世界一高度なセキュリティ」で厳重に守られていたが、ある日、ハッキングに特化した人工知能(AI)「ラブマシーン」のサイバー攻撃に遭い、OZ全体の管理権限が奪われてしまう。その結果、ユーザーのアカウントが次々と乗っ取られ、OZと連携する現実のインフラにも被害が出始める――。
――劇中では、OZがサイバー攻撃に遭い、管理者権限が奪われます。こうした被害は起こり得るのでしょうか。
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