こうして収集・整理された情報をもとに、投資部門のチームが実際の投資先を決定する。同社のポートフォリオは、金融、教育、医療などの分野でAIや機械学習を活用したプロダクトを開発する企業で構成されている(ポートフォリオ企業の情報はこちら)。
現状、同社のシステムは週に1000社ものスタートアップの情報を収集しており、これまで面談を行った企業の60%はFly Ventures側からアプローチしたとのこと。
つまり同システムの強みは、まだ資金調達活動を始めていないような本当の意味でシード(種)の段階にある企業さえ、ネット上に情報が掲載されていれば探し出せるところにある。
イギリスのBalderton Capitalでパートナーを務めるロベルト・ボナンジンガ(Roberto Bonanzinga)氏もセイボス氏と同じ考えのようだ。Fly Venturesと同じく彼らも投資先候補の選別にAIを活用しており、同氏いわく、AI・機械学習の技術をうまく応用すれば、投資効率は10倍近く上がるという。
シードステージやアーリーステージなど、誕生してまもない段階にある企業の将来性を判断するには、データだけでなく創業チームの人柄やビジネスモデルなど定性的な情報が大きな鍵を握っている。
しかし、投資判断を行う前の情報収集やデータの分類など、単純かつ反復的なタスクこそ機械が最も得意とするエリアだ。つまり先述のセイボス氏が言うように、VCのビジネスにも自動化できる部分はかなりある。
新たな技術が誕生すると、大風呂敷を広げた夢物語のような話に注目が集まりがちだが、これらの企業のように特性を見極め、何ができて自分たちのビジネスにはどう応用できるのか、と考える「選球眼」が今後ますます重要になってくるだろう。
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