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都会派の「X-T2」にアクティブ派の「X-H1」 富士フイルムの新フラグシップはどう違う?(5/5 ページ)

» 2018年04月24日 08時05分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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 以前からXシリーズは瞳検出機能も持っており、瞳を見つけたら手前側の瞳に自動的にフォーカスが合ってくれる。

 肌色が健康的に出るところなんかフジっぽい。

50mm F2の単焦点レンズをつけ、シダレザクラの前でポートレート。この健康的な肌色がフジっぽさ(50mm 1/680秒 F2 +0.67 ISO200)

 ただ、完全逆光時に顔をうまく捕まえてくれないことがあったのは残念。

 ポートレートといえば新しい「フィルムシミュレーション」も使ってみたい。

 動画用に用意された「エテルナ」だ。映画用撮影フィルムをシミュレートしたフィルムシミュレーションで、シャドウ部の階調が豊かでダイナミックレンジを広く発色も抑えめというもの。

 4K動画で本格的な作品を撮りたい人向けだが、ダイナミックレンジが広いしっとりした写真を撮りたいときにも良い。

 先ほどの写真をエテルナで撮ったのがこちら。

 見比べると、暗部の階調がしっかり出てて、再度も抑えめになっているのが分かる。

50mm F2の単焦点レンズをつけてポートレート。フィルムシミュレーションはエテルナ。しっとりしていい感じに。日本的な風景に合うなあと思う(50mm 1/680秒 F2 +0.67 ISO200)

 もちろん人物以外で使ってもOk。

 コントラストが強い構図でそれを柔らかく撮りたいときとか。

エテルナで撮影。大正時代に建てられた超老舗レストラン、という被写体もあいまって、ものすごく昭和っぽいというか高度成長期に作られた映画っぽい。1970年代ではなく、2010年代の京都です(10-24mm 24mm 1/2500秒 F5.6 ISO400)

 ではそれ以外の作例を。

カラフルな絵を撮ると富士フイルムは強い。すごく鮮やかでよい。赤や黄色のハイライト部が不自然にトバないのもよい(10-24mm 10mm 1/1400秒 F4 +0.33 ISO400)

ISO6400で夜の古い酒屋を利用したお店で。このくらいの感度ならけっこう使える。夜も手持ちで楽しめるようになった(16-55mm 16mm 1/50秒 F2.8 -0.33 ISO6400)
50mm F2を使い、室内で逆光で背景をぼかしつつ撮ってみた(50mm 1/70秒 F2 +0.33 ISO200)

バッテリー残量には注意しよう

 一通り使ってみて、確かにX-T2の上に位置するフラッグシップモデルだなってのは実感できた。

 ただ1つ不満だったのはバッテリー。

 高速連写やボディ内手ブレ補正、さらにBluetooth+Wi-Fiでスマートフォンへの自動転送もサポートなど、より電力消費が高い仕様になっていながら、バッテリーはX-T2やX-E3と同じものであり、バッテリーの持ちは良いとはいえない。

 公称でもX-T2より落ちていて、CIPA準拠で約310枚。

 どうせボディサイズも大きくなったのなら、ワンサイズ大きなバッテリーを積むという手はあったんじゃないかと思う。

 USB充電に対応しているので(充電に時間はかかるけど)、マメにモバイルバッテリーから充電しながら使うか、予備バッテリーを2つくらい用意したいところだ。

 バッテリーグリップを使うという手もある(中にバッテリ−を2つ搭載できるので、計3つを内蔵できる)。

バッテリーグリップを付けるとバッテリーを2個追加できるほか、縦位置シャッター、マイク端子なども使える

 快適だったのは、新型のシャッター。リーフスプリング式スイッチを使ったフェザータッチシャッター+シャッター衝撃吸収構造で、静かなシャッター音に加えて手に余計な力が入らないのですごく撮りやすいしブレにくい。これとボディ内5軸手ブレ補正の組み合わせは非常にすばらしい。

 まあ、ミラーレス機としては重くてゴツめなので万人向けのカメラではないが、過酷な現場での撮影やしっかりと撮りたい人、映像作品を撮りたい人(シネマレンズも出ることだし)にいい。

 X-H1で搭載された新技術が他のXシリーズに広がっていくのも楽しみだ。

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