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日本メーカー、欧州のテレビ市場で再び存在感を示せるかIFA GPC(2/3 ページ)

» 2018年04月26日 12時40分 公開
[本田雅一ITmedia]

堅調なテレビ市場、欧州の大型テレビ人気が牽引

 カンプ氏は、コンシューマー向けPC市場は小型軽量製品への買い替えが進む一方で平均単価下落やスマートフォンで十分とする消費者の買い替え見送りなどもあって停滞や後退がある一方、スマートフォンとテレビ、それぞれの市場にはプラス要素があると分析する。

 テレビ市場は、簡単にいえば平均単価が上昇しており、その傾向が今後も続くとみられている。画面サイズの大型化、映像ストリーミングサービスの普及による買い替え促進、世帯あたりのテレビ台数増加、パネル画素数増加に伴うアップスケーリング能力の向上などがその要因だ。

 とりわけ映像ストリーミングサービスの影響は大きい。放送ではなく、視聴者がオンデマンドで見たい映像を好きな時間に自由に選べる映像ストリーミングサービスの普及により、“家族で同じ映像を楽しむ”時代から、“個々の部屋で自分が好きな映像を楽しむ”時代へと変化しているためだ。

スマホ、PC、テレビそれぞれの成長を加速させる要素。テレビの場合は大画面化が最初に挙げられている

 日本では4K/8K放送や2020年東京オリンピック、地デジ移行ブーム後の影響からの脱却などがプラス要因で成長が見込まれているが、カンプ氏の分析とは成長要因が異なっている。

 またぞろ「日本はガラパゴスで……」という話になりそうだが、テレビに関しては近年の成長が著しい(大型化が進んでいる)欧州市場でソニーが高価格帯で存在感を出している上、北米市場からは撤退したパナソニックも力を入れている。

 また鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で再建が進み、再上場したシャープは、日本で発売済みの8Kテレビを欧州市場向けにカスタマイズし、欧州市場への再参入を果たした。今回のIFA GPCにも参加したシャープは、欧州でのテレビ事業を石田佳久副社長が再び立ち上げる。石田氏はVAIOやテレビ事業を担当していたソニーの元幹部だが、日本市場向けのマーケティングをそのまま海外に展開するのではなく、欧州向けに個別のマーケティング、事業展開を行っている。

 理由は単純に欧州のテレビ市場が今後も成長すると各社がみているからだ。

Ultra HD TV(4Kテレビ)の欧州における出荷台数と金額の推移

 欧州における4Kテレビ市場を掘り下げると、17年に4Kテレビが台数ベースで23%成長したのに対し、金額ベースでは25%伸びた。金額ベースの伸びの方が大きくなっている理由が大型化である。18年は台数ベースで38%増に対して金額の伸びは35%と、平均売価はやや下がると予測されているが、液晶テレビを中心に8Kパネルへの切り替えや超解像、アップスケーリング技術の進歩などにより、この傾向はしばらく続くとみられている。

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