KDDIと日立製作所は6月7日、IoT事業で協業すると発表した。KDDIが2019年度に商用化を目指すグローバルIoT通信プラットフォーム「IoT 世界基盤」のネットワーク回線管理機能に日立の技術を採用する。
IoT 世界基盤は、日本企業が海外でIoTを活用したビジネスを展開するときに使う通信環境、サービス展開、データ分析を一括してサポートするプラットフォーム。主な機能として、ユーザー企業が提供するIoTデバイスが国や地域を移動しても、KDDIが選定した現地通信キャリアに自動で接続、切り替えできる仕組み「グローバル通信プラットフォーム」を備えている。日本にいながら世界各国に広がるIoTデバイスを一元管理しやすくなるという。
これまで、海外でIoTデバイスなどを活用した事業を展開するには、日本からローミング接続を行うか、各国の通信事業者と交渉して回線契約を都度行う必要があった。KDDIの森敬一さん(取締役執行役員常務)は、ローミング利用料金を削減できることで、多くの国で通信費を半分程度に抑えられると話す。
「海外におけるIoTネットワークの展開に課題があった。IoT法人契約回線数はここ数年で顕著に増加しており、今後も伸びることを期待している。(新サービスで)顧客の課題を解決していきたい」(森さん)
日立は、グローバル通信プラットフォームの開発、構築支援を担う。さらに同社が展開するIoTプラットフォーム「Lumada」とグローバル通信プラットフォームを連携し、IoT 世界基盤の導入を後押ししたい考え。Lumadaは製造業の制御や運用、流通、交通の効率化などの分野で導入実績を持つ。
協業の1つとして、7月から日立産機システム(東京都千代田区)が展開する産業用インクジェットプリンターにグローバル通信プラットフォームを試験導入する。印字品質の管理や稼働状況をサポートする遠隔モニタリング機能を備えているが、海外への導入では通信環境面に課題があった。
グローバル通信プラットフォームを導入することで、セキュリティ面の向上や安定した通信環境、データ通信の大容量化を見込む。将来は不具合の予兆管理やコスト低減にもつなげたいという。
グローバル通信プラットフォームは、トヨタ自動車とKDDIが共同で進めるコネクテッドカー事業にも採用している。KDDIは自動車以外の産業分野にも、自社IoTプラットフォームの導入拡大を狙う。
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