米司法省と連邦捜査局(FBI)は6月11日、企業や個人をだまして偽口座に現金を送金させる「ビジネスメール詐欺(BEC)」の集中的な摘発を行い、米国やナイジェリアなどで計74人を逮捕したと発表した。
BECの手口では、犯人が企業の幹部や取引先になりすましたり、コンピュータに不正侵入したりするなど、さまざまな手口で会計担当者や取引先への送金担当者などをだまし、取引先への送金と思わせて、犯罪集団が管理する口座に現金を振り込ませる。
今回摘発された事件の被害者には、不動産を購入した消費者や高齢者なども含まれるという。
FBIは、BECの摘発を目的とした「Wire Wire作戦」を展開し、米国土安全保障省や財務相、郵便監察局、およびナイジェリアなど各国の捜査当局と連携して半年あまりに及ぶ捜査を実施、米国やナイジェリア、カナダ、モーリシャス、ポーランドで74人を逮捕した。
捜査の過程でおよそ240万ドル(約2億6000万円、2018年6月現在)を押収し、不正に送金された約1400万ドル(約15億円)を回収したとしている。
こうした犯罪は被害企業や個人に重大な損害をもたらすだけでなく、世界経済に与える影響も大きいと司法省は指摘する。FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)がBECに関する統計を取り始めて以来、報告された被害額は総額37億ドル(4070億円)を超えているという。
BECでは、犯人が例えば最高財務責任者(CFO)など経営幹部の電子メールに不正アクセスするなどの手口で従業員をだましたり、不動産会社や法律事務所などの関係者になりすましたりするなど、手口が巧妙化し続けている。FBIは、そうした手口について認識を高めることが、被害防止につながると指摘している。
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