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「高校野球の戦評記事」書く“AI記者” 朝日新聞社など開発

» 2018年08月16日 12時05分 公開
[ITmedia]

 野球のスコアブックを読み込み、勝敗が決まったシーンを分析して戦評記事を書く“AI記者”「おーとりぃ」を、朝日新聞社と株式投資サイトを運営するみんかぶが共同開発した。「第100回全国高等学校野球選手権記念大会」(8月5日〜21日)の3回戦から朝日新聞デジタルのサイトで戦評記事を配信している。

野球 AIの戦評記事(朝日新聞デジタルより)

 おーとりぃは、電子スコアブックのデータを基に高校野球の戦評記事を自動生成するシステム。朝日新聞社のスポーツ記者が甲子園球場でPCを使って入力したデータを基に、勝敗が決まったシーンや、注目すべきプレー、選手などを抽出し、文章化する。

 一球単位でデータを分析し、「初球を」「フルカウントから」といった表現も可能。チームの戦績も記録し、「今大会初」「2試合連続の」といった情報にも対応する。

 延長13回のタイブレークで、大会史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打も飛び出した第3試合・済美(愛媛)-星稜(石川)戦の戦評記事は以下になったという。

タイブレークまでもつれた打撃戦を済美が逆転サヨナラで制した。8回に6点差をひっくり返し、再びリードを奪われた13回も矢野の満塁本塁打で逆転。星稜は1回に南保の右適時打で先行。13回にも加点したが及ばなかった。

 実際のプレーは見ていないので、「ファインプレー」「特大ホームラン」などの表現はできない。同社は「一番盛り上がったシーンを外すこともあるが、そこはご愛敬」とし、「記者に少しでも近づき、地方大会を含めた全試合の分かりやすい速報戦評を届けたい」としている。

 おーとりぃの開発は、朝日新聞社とみんかぶが2017年12月に発表した、資本業務提携の取り組みの一環。朝日新聞社が長年にわたる高校野球取材で得た膨大なデータと、みんかぶが自動生成記事開発・運用で培ったデータ解析と文章生成技術を組み合わせ、記者のような記事を書ける文章生成ロジックを開発できたという。

 同様の取り組みとして、神戸新聞社も7月に高校野球の戦評を自動作成プログラム「経過戦評ロボットくん」を発表。Twitterで全国高校野球選手権の東西兵庫大会の戦評を配信していた。

 電通も、スポーツ解説システム「ZUNO」(ズノさん)を発表。過去の打席データを解析し、各投手の配球やチームの順位などを予測するもので、18年4月にNHK BSでメジャーリーグの配球予測などを行った。

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