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ステレオ仕様の異端児 パナソニックのスマートスピーカー「SC-GA10」開発秘話体当たりッ!スマート家電事始め(1/3 ページ)

» 2018年08月26日 08時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 スクリーン付きの「Amazon Echo Spot」が発売されたことで再びスマートスピーカーに注目が集まっているが、従来通りの音声インタフェースによるAIアシスタントの操作と応答を中心としたスマートスピーカーにも、今年面白い製品が発売されたことをご存知だろうか。Googleアシスタントを搭載するパナソニックの「SC-GA10」だ。

パナソニック初のGoogleアシスタントを搭載したスマートスピーカー「SC-GA10」を試してみた

 この製品、実は単純に音が良いというだけではなく、ほかのGoogleアシスタントを搭載するスマートスピーカーにはないユニークな機能をいくつか搭載している。異端児の高音質スマートスピーカーが誕生した背景や特徴的な機能についてパナソニックのキーマンに詳しく聞いた。

 今回はSC-GA10の商品企画を担当する桑原広次氏には大阪から、設計開発担当の坂本晃史氏にはシンガポールからビデオ電話によるインタビューに参加していただいた。

パナソニック初のスマートスピーカーは徹底的に音を磨き上げた

SC-GA10を担当したPAVCネットワークスシンガポール Asia Pacific AV Network Development Center(APDC)設計開発 主幹の坂本晃史氏

 SC-GA10は5月にパナソニックが発売した同社初のAIアシスタント搭載スマートスピーカーだ。パナソニックの公式通販サイトでは3万2270円(税込)で販売されている。Google純正の「Google Home」(1万5120円、税込)をはじめ、他社のGoogleアシスタント搭載のスマートスピーカーに比べるとSC-GA10は若干高値ではあるものの、さすがに音質の出来はひと味違う。設計担当の坂本氏が次のようにこだわりを説いた。

 「私たちはオーディオ機器として本機の音質にこだわりながら開発してきました。スピーカーユニットの基本構成は2つの2センチソフトドームツイーターと、8センチのデュアルボイスコイルウーファーを1基というステレオ構成を採用しています。当初はウーファーも2基のせるアイデアもあったのですが、本体のサイズが大きくなってしまうのでやめました。最終的には専用設計のツイーターを2つにして、ユニットの手前にディフューザーを置くことで音に広がりを持たせる構造としています。デュアルボイスコイルにL/Rの信号を入力してウーファーを鳴らす仕組みにより、豊かな低音再生を実現しています」

 Googleアシスタント搭載のスマートスピーカーとしては珍しいステレオ仕様のユニット構成とし、実用最大出力で合計40ワットのパワフルなアンプで駆動する。背面パネルにバスレフポートを設けたことで抜けの良いクリアなサウンドに仕上げたのは大きな魅力だ。Google Homeと聴き比べると解像感の高さと音場の見晴らしの良さは段違い。独特の四角いタワー型デザインは音質にも関わりがあるのだろうか。

SC-GA10のスピーカー構造。2センチソフトドームツイーターを2基と、8センチのデュアルボイスコイルウーファーを1基搭載する

 「多くのインテリアに溶け込みやすいよう、シンプルでスタイリッシュ、かつ省スペースを意識した外観デザインを基本としています。そのイメージを壊さずに低音の量感を得るため、キャビネットの容量を確保できる現在の縦長形状としました。四角いボックス形状においても音質は徹底してこだわりました。例えば強度を確保しつつ、開口部を広げて音の解析や音質の劣化を防ぐため、ハニカム形状の開口部をスピーカーネットフレームに採用しています」

天板にタッチセンサー式のコントロールパネルを配置。マイクの穴も2つある
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