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「8割がソシャゲの相談」 ゲームAI注目されるワケ、「がんばれ森川君2号」開発者が語るCEDEC 2018(1/2 ページ)

» 2018年08月27日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]
AI 「がんばれ森川君2号」を開発した森川幸人さん

 「昔は誰もAI(人工知能)に関心を示さずふてくされていたが、今はこんなにみんなAIに興味があったのかと痛感している」――ゲーム会社向けにAIのコンサルティングなどを行うモリカトロンの代表・森川幸人さんはこう話す。

 森川さんは、プレイステーション向けゲーム「がんばれ森川君2号」(1997年)をはじめ、AIを活用したゲーム開発にいち早く取り組み、ゲームAIの研究開発を20年以上続けてきた。

 今でこそ、ゲーム内キャラクターの行動や会話、オープンワールドの地形解析などにAI技術が使われる事例が日本でも増えたが、森川さんが「AIにどっぷりハマっていた」と話す90年代〜2000年代は、日本国内のゲーム業界でAIに関心を示す人はほとんどいなかったという。


AI ニューラルネットワークを活用した「がんばれ森川君2号」

 近年ディープラーニングが注目され、第3次AIブームが到来したことでゲームAI開発にも追い風が吹いている。森川さんが昨年8月に創業したゲームAI専業会社モリカトロンには「すごくたくさんの会社からオファーが来ている」(森川さん)。

 しかし、ゲームAIにはまだまだ課題も多いという。さまざまなゲーム会社の相談を聞く中で見えてきたゲームAI開発の課題とは。森川さんが8月24日、ゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2018」(パシフィコ横浜)で語った。

AI デジタルゲームAIの歴史

ゲームAIは今でも「風前のともしび」

 森川さんはモリカトロンの仕事をソムリエに例え、「顧客の料理(ゲーム)に合うワイン(AI)を考えること」と説明する。キャラクターとの触れ合いに重きを置くゲームなら、プレイヤーの会話ログを活用したせりふの自動生成、パズルゲームならパズル画面の自動設計などを提供する。

AI AIの利用例

 「まだ道半ば」としているが、プレイヤーの状況を判断して敵の強さや出現数、イベントの難易度などを調整するAIや、ゲームのデバッグや品質管理をするAIも開発・研究しているという。

 森川さんは、ゲームAIの需要が高まっている要因として「スマートフォンとソーシャルゲームの台頭」を挙げる。

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