「7〜8割がソーシャルゲーム関連の相談。家庭用ゲームよりも厳しい予算で開発しなければならず、AIで少しでも作業量を少なくできないかと考える人が増えた」(森川さん)
森川さんにとって、一番困るのが「面白いAI」をリクエストされること。キャラクターがどのように動き、会話をすれば「面白い」と感じるのかは人それぞれで、AIに学習させる教師信号をどう作るかに骨を折るという。発売後のゲームならプレイログを解析できるが、開発中のものだと参考にできるデータもない。
各社から多くの引き合いがあるものの、森川さんは「ゲームAIは今でも風前のともしび」と慎重だ。「AIを扱える人材、特にAIを使った面白いゲームを考えられるAIプランナーがほとんどいない。AIは工学的な知識が必要だが、プランナーは文系の人が多く、両方を理解できる人材が少ない」
また、今はゲーム会社やタイトルごとにゲームAIを開発することが多く、「各社独立の開発はロスが多い。ゲーム業界全体で共有できるようなAIツールの開発が必要」と語った。
ゲームAIの開発・研究を行うスクウェア・エニックスの三宅陽一郎さん(テクノロジー推進部 リードAIリサーチャー)も、「デバッグや品質保証などは先行研究が少なく、共通のフレームワークがないのが課題」とし、「他社と直接競合しないので、産学連携で共同研究をしていきたい」と賛同する。
かつて社会現象にもなった、人面魚と会話できる育成シミュレーションゲーム「シーマン」(1999年)を開発した斎藤由多加さんは、「IT業界もAIを使っているが、ゲーム業界には人を面白がらせるノウハウがある。そういうことにAIを使ってほしい」と締めくくった。
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