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» 2018年10月12日 20時13分 公開

有料サービスで「申し訳なかった」 「ヤフオク!」が出品無料化に踏み切った理由 (2/2)

[村田朱梨,ITmedia]
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メルカリの登場で「目が覚めた」

 ヤフオク!の目を覚まさせたのは、フリマアプリ「メルカリ」の台頭だったという。強力なライバルの登場で、ヤフオク!は唯一のサービスではなくなった。例えば購入した商品が偽物だと分かれば、ユーザーは「メルカリならこうしてくれた」と対応を比較するようになる。

 「比較対象がなかった頃は、ヤフオク!がユーザーにとってどの程度良いサービスなのか分からなかった。メルカリの存在が『良いサービスとは何か』を考えるきっかけになった」(小澤氏)

 小澤氏がヤフオク!の改善に取り組み始めたのは、ヤフーが川邊社長による新執行体制に移行した2018年4月。「他社と比べてサービスレベルが低い」「ユーザーがお金を払ってまで使いたいと思えるサービスになっていない」と考え、さまざまな点を見直した。

 出品された商品が偽物かどうかの判断基準を厳格化しパトロールを強化した他、機械学習を活用したシステムでも出品商品の検知を実施。補償制度については「ユーザーの手間を最小限にして迅速に対応する」という方針に切り替え、補償対象の拡大や手続きの簡略化を進めているという。無料会員によるオークション出品を可能にしたのも、そうした改善施策の1つだ。

photo 11月12日以降、無料会員でもPCブラウザやスマホブラウザからオークション出品が可能に

 ヤフオク!の改善については当初2つの方向性を検討していたという。1つは有料で「詐欺取引や偽物の出品がない」といった料金に見合うメリットのあるサービスを提供すること、もう1つは誰でも利用できる無料サービスにすること。小澤氏が選んだのは後者だった。

 今すぐに詐欺取引や偽物の出品をゼロにするのは難しいという問題もあったが、何より「ハードルを下げてより多くの人にヤフオク!を利用してもらいたい」と考えたという。「ヤフーはもともと、できるだけ多くの人にサービスを届けるという考え方の会社。ヤフオク!が有料であることの方が、むしろイレギュラーだ」(小澤氏)

 オークション出品が無料化することで、有料会員の減少につながる可能性もあるが「有料会員であることのメリットはある」と小澤氏は言う。ヤフオク!では、無料会員は落札システム手数料が10%のところを有料会員は8.64%とし、補償も手厚くする。また、「Yahoo!ショッピング」や「Yahoo!トラベル」でより多くのポイントを得られるようにするなど、同社の他サービスでもメリットを提供するという。

「ヤフオク!」の無料会員と有料会員の違い

「ヤフオク!」の今後は

 他社よりも優れたECサービスを目指し、今後もヤフオク!の改善は継続する予定。「ずっとヤフオク!を愛してくれている人もいる。大きく変えてくれるなという意見もあるし、サービスのいじり方によっては反発もあるだろう。上手に仕上げたいと思っている」(小澤氏)

 「われわれとしても、ヤフオク!を『年老いたサービス』にするつもりはない。資金も人材もしっかりと確保しているので、ユーザーの声を聞きながら良いサービスに仕上げていく。だから、まずは『今までごめんなさい』と言わせてほしい」(小澤氏)

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