「ソフトバンクモバイルの通信事業に関わる社員を4割削減したい」。11月5日の決算説明会でソフトバンクグループの孫正義社長(兼会長)はこう話す。RPA(Robotic Process Automation)とAI(人工知能)で定型業務を自動化し、業務効率を上げることで人を減らす。人員は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などの新規事業にシフトするという。
発言の背景には、7月9日に発表した通信子会社ソフトバンクの上場申請がある。ソフトバンクグループとの「親子上場」や有利子負債の大きさに対する懸念が伝えられる中、8月には菅義偉官房長官の「携帯電話料金は4割下げられる余地がある」発言、さらにNTTドコモの料金値下げ表明もソフトバンクにとっては逆風だ。値下げ圧力が強まれば、投資家は携帯電話事業の将来性に疑問符を付けかねない。
孫社長は、「日本のスマホ市場はまだ成熟していない。とくに法人向けは半分以上がスマホ以外を使っている」と市場性をアピールすると同時に、通信事業に関わる人員削減で固定費を圧縮し、「今後も増収増益にコミットし、株主への責任を果たす」とした。ソフトバンク上場で調達した資金は、ビジョン・ファンドの新規事業展開や有利子負債の支払いに充てる。
「今後、ビジョン・ファンドの新規事業をジョイントベンチャーなどの形で日本にたくさん持ってくる。かつてヤフージャパンを作ったときのように、大いに花を咲かす。単なる(人員)削減ではなく、成長事業へのシフトだ」(孫社長)
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