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機械が作った音楽は人の心を動かすか 「AIで自動作曲」研究するワケこれからのAIの話をしよう(音楽編)(1/4 ページ)

» 2018年11月09日 08時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 人工知能が作曲家になる日は来るか。私たちは、人間が作った曲と人工知能が作った曲の違いに気付けるのか。前回の記事では、テキスト入力された歌詞のイントネーションを分析してメロディーを作る自動作曲システム「Orpheus」の開発に2008〜13年までの大学院在籍時に携わっていた、産業技術総合研究所 主任研究員の深山覚さんに、それらの疑問をぶつけました。

作曲AI 深山さんが開発に携わっていた2008年当時の自動作曲システム「Orpheus」ver 2(画像提供:深山さん)

 「音」と「音楽」の違いや、自動作曲を考える上で重要な3つの要素、人工知能がヒット曲を生み出すのはまだ難しいことなど、そのお話は多岐にわたりました。今回は、自動作曲は人間の作曲家の仕事を奪うのかや、これからの作曲家は人工知能とどのように付き合っていけばいいのか、自動作曲が浸透した日常はどんなものになっていくのか、などを聞きました。

(編集ITmedia村上)

編集部注:「Orpheus」は現明治大学の嵯峨山茂樹教授のアイデアから生まれ、東京大学らの研究チームで研究・開発されたもの。深山さんは、2008年〜13年までの東京大学大学院在籍時に開発に携わっていた。

連載:これからのAIの話をしよう

いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。

「AIが作曲家の仕事を奪う」という誤解

音楽 Orpheusの開発に2008〜13年までの大学院在籍時に携わっていた、産業技術総合研究所 主任研究員の深山覚さん

 人工知能による自動作曲で、作曲家の仕事はなくなってしまうのでしょうか。深山さんは「客観的な視点からも、私自身の信念としても、それはあり得ない」と否定し、「私が自動作曲を研究する理由は、人間ならではといえる創作を探究したいからなんです」と強調します。

 「いきなり"人間ならではの創作とは何か"を考えるのは、なかなかモヤッとして掴み所がありません。でも、少しずつ自動化できる所を見つけることで外堀を埋めていき、最後に残った部分が"人間ならでは"ではないか、というモチベーションを持って研究しています。それに私自身が、作曲の仕事をなくそうとは思っていません」

 「AIが作曲家の仕事を奪うとは思えない」と指摘する深山さん自身、音楽を嗜んでいるようで、「どこまで作曲に関わる部分を自動化できるんだろう」という思いをずっと持たれていたようです。

 「自分なりにインスピレーションが湧いてすごい曲を作っているつもりでも、もしそれと同じことが機械にできてしまうなら、誰にでも同じことができるようになります。どこまでやると同じものが出ないようになるのだろう、どうすると人間が作れないものを作れるようになるのだろう、そういうことへの興味が開発のキッカケです」

 実際Orpheusを通して、これは人間には作れないなと思えた音楽に出会った瞬間はあるのでしょうか。

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