「ユーザー数と店舗数の双方でナンバーワンを目指す」――PayPayの中山一郎CEOは、そう高々と宣言する。PayPayは10月5日に始まったばかりのコード決済サービスだが、ソフトバンクグループの資金力を生かし、ユーザーに総額100億円相当ものPayPayボーナス(電子マネー)を還元する、大規模なキャンペーンを打つ。
「100億円あげちゃうキャンペーン」と銘打つこのキャンペーンでは、PayPay支払い額の20%を還元する他、40回に1回の確率で支払額の全額を還元する(ソフトバンクとY!mobileのユーザーは、この確率がさらに高くなる)。中山氏はキャンペーンの狙いについて「新規ユーザー獲得と利用促進」と話し、「ユーザーが増えると加盟店が増える」という相乗効果を図る。同氏は「PayPayを使わないと損だと言い切れるキャンペーンだ」とアピールする。
キャンペーン期間は2019年3月31日まで。還元額が100億円を突破した時点で終了となるが、20%が(実質的に)キャッシュバックされるのは大きい。例えばライバルの決済サービス「LINE Pay」の「カラー」プログラムでは、カラーによって0.5〜2%が還元されるのに加え、3%の上乗せキャンペーンを実施しているが、それでも還元率は最大5%(これでも大きい方だが)。
20%還元の上限は月に5万円までで、月に25万円までの決済は全て20%引きとなる。25万円までなら、高額の買い物をすればするほど、たくさんのPayPayボーナスがたまるというわけだ。
一方、いくらお得なキャンペーンでも使える店舗が少なければ魅力は半減してしまう。そこでこのキャンペーンに合わせ、全国のファミリーマート1万7000店でPayPayを導入する。ファミリーマートの増田貴司社長は「2000店舗でPayPayのキャラバンを実施し、PayPayを思いっきりプロモートする」と支援する考えを明かす。
他に、大手ではH.I.S.、エディオン、ジョーシン、ビックカメラ、コジマ、ソフマップ、ヤマダ電機、ポプラ、ミニストップ、松屋、ウェルシアなどへの導入も決まっている。PayPay担当者によると、他のコンビニへ拡充することも視野に入れているそうだ。
ただし、現時点でのPayPayの加盟店数や、キャンペーンによってどこまで店舗を増やすかの目標値は公表していない。LINE Payでは、2018年中に100万店舗まで拡大することを目標に掲げているが、ナンバーワンを目指すには、この「100万」は超えなければいけない壁だ。
発表会ではソフトバンクの榛葉淳副社長兼COOとヤフーの川邊健太郎社長も登壇し、PayPayを、ソフトバンクグループが総力を挙げてもり立てていくことを強調した。また、ソフトバンクショップとY!mobileショップでもPayPayを紹介していくという。榛葉氏は「一気呵成(かせい)に日本一の決済カンパニーとして育てていきたい」と意気込む。川邊氏は「Yahoo!とソフトバンクだからこそできる仕事だと思っている。もう1つのYahoo! Japanを作る意気込みでやっていきたい」と語った。
今回のキャンペーンは確かにものすごいインパクトだが、このキャンペーンが終わった後にどんな施策を打っていくかは「白紙」(中山氏)。キャンペーン期間中だけPayPayを使い、キャンペーンが終わったら、より素早く決済できる非接触決済サービス(Apple Payやおサイフケータイなど)に戻る人が出てくることは想像がつく(筆者もそうなりそう)。また中山氏によると、PayPayが非接触決済サービスを採用する予定はないとのこと。この点は、QUICPayを取り入れたLINE Payとは対照的だ。
グループの強みを生かすとしたら、ソフトバンクとY!mobileのユーザーに対し、いかにお得さを継続して打ち出せるか、そこから全ユーザーにどう広げていくかが鍵を握る。
PayPayではアプリの機能拡充も進めており、11月21日にはPayPayユーザー同士でのPayPay残高の個人間送金(厳密には送金ではなくポイントの送付)にも対応した。また、対応店舗のマップ機能では、店舗名だけでなく、どんな業態の店舗かも表示可能にする予定。
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