ソフトバンクは、5G活用を検討する企業が5Gの実験機器の技術検証などをできる施設「5G×IoT Studio」(東京都江東区)を、11月30日にリニューアルした。製造、エンターテインメント、小売など業種別のユースケースをイメージできる展示を用意、ニーズが多かったという5GとAI(人工知能)技術を組み合わせたデモを報道関係者に公開した。
5G×IoT Studioは赤坂、品川などにもあるが、今年5月に開設されたお台場ラボでは5Gを理解してもらうための展示や、企業が自社デバイスを5Gに接続して動作検証できるシールドルームなどを用意。2020年の5G商用化に向け、5G技術を自社サービスに活用したい企業のニーズに応える。
今回のリニューアルで、企業からの要望が多かったという5G、AI、高精細映像を組み合わせたデモを披露。まずは、ディープラーニングによる画像処理技術を活用し、カメラ映像に映り込んだ人物の目にリアルタイムでぼかし処理を施すというもの。テレビの屋外生中継などで、通行人の目や不適切な看板などにぼかしを入れるケースを想定しており、カメラの映像をリアルタイムでサーバ上で処理し、エッジ端末(モニターなど)に映すには、低遅延な5Gが必要になるという。AIシステム開発を行うカタリナ(東京都千代田区)との共同実験。
また、複数台のカメラで撮影した高画質な映像をリアルタイムで処理し、骨格を推定して人の動線を分析するデモを披露した。大人数が集まるイベント会場での避難経路の確保や不審者特定といった防犯対策などで活用できる見込み。
カメラ映像の画像処理などを得意とするフューチャースタンダード(東京都文京区)の映像解析プラットフォームを使用した。大容量な高画質映像を5Gで伝送し、端末の近くにサーバを分散配置するエッジコンピューティングを使うことで、カメラに高性能なGPUを搭載せずに、リアルタイムでデータ処理ができる仕組みだ。
ソフトバンク テクノロジーユニット技術戦略統括の船吉秀人さん(先端技術開発本部 先端事業企画部 部長)は、「これからはあらゆる小型デバイスがつながるIoTの時代になるが、5Gはそれを支える技術と位置付けている」と話す。今後もエッジコンピューティングを活用することで実際にユーザーが使う端末側の負荷を軽減する考えだ。
また、地方でも5Gが使えるように“おでかけ5G”と称する可搬型の設備を用意。5G対応端末、移動型の5G基地局、コアネットワーク、MEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバで構成され、これらを運搬することで山間部や災害時などでも5Gを使えるようにするという。
船吉さんは、「いまは都市部を中心に5Gの実証実験がされているが、山間部で建機を遠隔操作するなど地方でもニーズはある。地域産業の活性化に向け、5Gをより使いやすくしていきたい」と語った。
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