スポーツが好きな人は、プロ野球やJリーグをスタジアムで観戦することも多いだろう。みんなでチームを応援するときの一体感や臨場感がスタジアム観戦の醍醐味(だいごみ)だが、選手の表情やリプレイを見たいときはテレビやネットで視聴した方が便利だったりもする。
音楽ライブでも、現場の一体感を楽しみたいと思いつつ、アーティストが歌う様子をもっとアップで見たくなることもあるはずだ。
スタジアムの一体感と、テレビのような自由度の高い視聴体験を両立できないか――KDDIが、このような新しい体験を目指した実験に取り組んでいる。
同社は今年6月、タブレット端末を使ってプロ野球の試合を好きな角度でライブ観戦できる実証実験を沖縄県で実施。複数の端末にリアルタイムで大容量の映像を送る必要があるため、次世代のモバイル通信方式「5G」を活用した。
しかし、現状は視聴できるデバイスとその数に制限があり、バッターボックス周辺の映像しか見られないなどの課題もある。
自由視点映像技術の研究開発を行うKDDI総合研究所の内藤整さん(超臨場感通信グループ リーダー 博士[国際情報通信学])は「将来は手持ちのスマートフォンからフィールドにいる全ての選手を自由な角度で楽しめるようにしたい」と話す。
5Gは、日本国内では東京五輪・パラリンピックの開催時期と同じ2020年に商用化される予定の技術。最大20Gbpsの高速かつ大容量な通信に加え、ネットワーク遅延が少なく、多くの機器を同時接続できるのが特徴で、スポーツに限らずさまざまな産業での活用が見込まれている。
5Gによってスポーツ観戦はどう変わるのか。
さまざまな企業が、5Gを使った新しいスポーツ観戦の可能性を探っている。例えば、AR(拡張現実)技術を使い、スマートグラスに選手や試合情報を投影しながらスタジアムで観戦する、VRゴーグルを使って自宅にいながら臨場感のある高画質なライブ観戦ができる――といったものだ。
そんな中、KDDIは2006年から本格着手している「自由視点映像」と5Gを組み合わせ、スタジアム観戦の体験を向上させることを考えた。
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