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» 2018年12月10日 18時31分 公開

「好きかも?」AIで分析 東大と「Pairs」がタッグを組む理由

「Pairs」を運営するエウレカが、東京大学とマッチングアルゴリズムを共同開発する。利用者の行動履歴などをAIを活用して分析し、「質の高いマッチングの実現を目指す」としている。

[片渕陽平,ITmedia]

 恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」(ペアーズ)を運営するエウレカ(東京都港区)は12月10日、東京大学とマッチングアルゴリズムを共同開発すると発表した。利用者の行動履歴などをAI(人工知能)を活用して分析し、「質の高いマッチングの実現を目指す」(同社)としている。

photo 恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」=公式サイトより

東大と“探し切れていない切り口”を見つける

 Pairsは、年齢や身長、趣味などの検索条件から、気になる異性を探して「いいね!」を送り、相手からも「いいね!」の返事があるとマッチングが成立。メッセージのやりとりが可能になるというサービスだ。今年8月には累計会員数が日本、台湾、韓国を合わせて800万人を突破し、Pairsをきっかけに交際・入籍した人は18万人を超えた(12月現在、同社調べ)。

 異性とマッチングする仕組みは、これまで(1)利用者が相手に求める条件(年齢など)を絞って検索する、(2)「サッカー好き」など共通項目がある相手を、Pairs側がレコメンドする――といったものだった。加えて(3)「散歩好き」の男性と「カフェ巡り好き」の女性がマッチングするかもしれない、といった可能性もあるため、同社は蓄積した会員データを基に、独自のアルゴリズムを開発してきた。

photo 「サッカー好き」といった共通項目に加え、「散歩好き」「カフェ巡り好き」というように過去データからマッチング率が高い項目をピックアップする手法を開発してきた
photo エウレカの金子慎太郎CTO(最高技術責任者)

 しかし、同社の金子慎太郎CTO(最高技術責任者)は、会員数が増えていく中で「まだまだ使っていきたいデータもあり、より深い精度でマッチングさせたい」と話す。

 そこで、ビッグデータ分析に長ける東大大学院の山崎研究室(情報理工学系研究科)とタッグを組む。Pairsサービス内の行動履歴を、山崎研究室が機械学習、パターン認識技術などを活用して分析し、“探し切れていない切り口”を見つける考えだ。利用者のプライバシーに配慮した上で、プロフィールの画像などの分析も検討する。

 金子CTOは「複数の切り口を用意することで、利用者に『自分はそうは思っていなかったが、好きかも』という気付きを与えられる場にしたい」と意気込む。

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「結婚を望んでいる人がいるのに、技術のサポートができていない」

photo 東大大学院の山崎俊彦准教授

 一方、同研究室の山崎俊彦准教授は「結婚や妊娠を望んでいる人がいるのに、技術のサポートができていないことが残念」と話す。国内最大級のマッチングサービスと組むことで、山崎氏が研究している技術を多くの若い世代の生活に生かせると考えたという。

 具体的な取り組みはこれからだが、山崎氏は、マッチングを予測する予備実験の成果を披露した。匿名化したPairs会員200万人分のデータを活用。160万人分のデータを学習したAIに、残り40万人分のマッチング結果を予測させた。

 その結果「いいね!返し予測精度」(※1)は、プロフィールのみの分析だと21%だったものが、プロフィールと一緒に活動履歴も分析すると36%まで上昇した。また「いいね!返し網羅率」(※2)も同様に62%から75%にアップした。

(※1)いいね!返し予測精度……AIが個々の『いいね!』に対し、『いいね!』がもらえるかを予測し、何%が正しく予測できたかを表す(適合率)

(※2)いいね!返し網羅率……テストデータ(40万件)の中で『いいね!』返しが起こったもの全体を100%とし、AIが『いいね!』返しが起きたペアを何%予測できたかを表す(再現率)

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 マッチングの成功確率を高めるだけでなく、マッチング後のメッセージのやりとりでも、送信のタイミング、言葉選びなどを分析し、「自己アピールが得意ではない、会話が続かない」という人を支援する仕組みも考える。

 「コンピュータに相手を紹介してもらいたくないというネガティブな意見もあるかもしれないが、(Pairsのような)オンライン婚活は事情が違う。いいね!を送り合い、初めてメッセージが送れるという前段階が必要。すごく単純な推薦システムを作るなら、(利用者が)条件を入れて絞り込んでいく残念なものになる。1つの条件が合わなくても、『こんなすてきな人もいる』という出会いの場を演出できる。候補の数を減らさず、可能性を広げられることが大事」(山崎氏)

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