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» 2018年12月12日 07時00分 公開

これからのAIの話をしよう(接客ロボット編):“ロボットで自動化”に潜むリスク 全店舗でPepper導入の「はま寿司」が乗り越えた苦労とは? (1/4)

全国にある回転寿司チェーン店「はま寿司」に導入されているヒト型ロボット「Pepper」。前例のない新規プロジェクトを実現できた理由をキーマンに聞いた。

[松本健太郎,ITmedia]

 多くの企業がロボット活用で苦しむ中、ヒト型ロボット「Pepper」(ペッパー)を全国にある全491店舗(2018年3月時点)に導入している、回転寿司チェーンの「はま寿司」。ロボットに受付・案内などの接客業務を任せることで従業員の負担を減らし、店内業務の効率化を図っています。

はま寿司 Pepper(編集部で撮影)

 前回は、Pepper導入の立役者である、はま寿司(東京都港区)店舗管理部の池ノ上達也さん(次長)に、プロジェクトのキッカケや導入当時の苦労を伺いました。池ノ上さんは「最初はほとんどの社員が疑問を持っていました」と当時を振り返っていました。そこで、池ノ上さんはソフトバンクと協力してすぐにデモ機を開発。紙ベースで議論するのではなく、実際に動いているPepperを見てもらうことで、社長を含め社内からの賛同を得ることができました。

 そして、実際に店舗でテスト導入した際は「1時間半で止まってしまった」(池ノ上さん)りと、苦労も尽きませんでした。その後もアジャイル的に都度エラーを解消しながら改善を繰り返し、いよいよPepperを全国の各店舗で利用する段階までやってきました。

 「全国展開は細かく段階を踏み、慎重に進めました」と話す池ノ上さん。そこでどんなトラブルが起き、どう乗り越えたのか。Pepperを導入する上で特に意識したことなど、今回は“前例のないプロジェクト”を成功に導けた理由に迫ります。

連載:これからのAIの話をしよう

いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。

(編集:ITmedia村上)

「必要な準備期間」 Pepperのために説明スタッフを配置

 いまでは全国のはま寿司で導入されているPepperですが、いきなり全国各地で一斉展開したわけではありません。

 まずは、16年10月にウィラ大井店(東京都)でテスト導入。1日の運営が滞りなく進められるか、業務が止まらないかなど、どこでエラーが発生するかを細かく確認しました。

 次に、小さいお子さんやお年寄りなど幅広いお客さんに対応できるかどうかを調べるため、客層の異なる店舗でも実験。16年12月に真岡店(栃木県)、17年1月に浦和店(埼玉県)にも導入し、3店舗で実験を始めました。その後、地方特有の問題が発生しないか試すため、全国各地の25店舗にも展開。問題なく動くことが分かり、17年末に全店舗への導入を完了しています。

 こう見るとトントン拍子に進んでいるようにも見えますが、当然それぞれの段階でさまざまな苦労がありました。

 ちょっと想像するだけでも、Pepperをバシバシたたく小さいお子さんや、Pepperの前でどうしていいか分からずたたずむお年寄りの姿が目に浮かびます。普段スマートフォンに慣れている若者でも、突然寿司屋に入ってPepperが現れたら、そのタッチパネルをうまく操作できるかは分かりません。

 池ノ上さんは「最初のうちは、当然お客さんもPepperの操作は分からないですよね。営業部のメンバーに操作手順のマニュアルを作ってもらい、導入後の店舗ではPepperの隣に従業員を配置し、お客さんに説明してもらいました」と話します。

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