「お客さまにご迷惑をおかけして大変申し訳なかった。今回の問題を重く受け止め、再発防止に努める」――12月6日に発生した大規模な通信障害についてソフトバンクの宮川潤一副社長は、19日に開いた記者会見で改めて謝罪した。再発防止に向けた対策として、障害の原因となったエリクソン製のLTE交換機については他社製品を追加し、マルチベンダー化を進めるという。
宮川副社長は、障害の原因が同社のLTE交換機にあったと説明。東京センターと大阪センターで計18台の機器を運用しており、本来なら一部の交換機に障害が発生しても、残りの交換機でカバーする仕組みになっていた。今回の障害では、全ての交換機で同時に異常が発生したため対応できなかったという。
同時多発的に発生したアラートの中から、交換機のソフトウェアに問題があることを特定するまでにかかった時間は2時間15分。その後、古いバージョンのソフトウェアにロールバックして解決できることが分かり、復旧作業を進めた。全ての作業が完了するまでには、障害発生から4時間半ほどが経過していた。
復旧作業を進める中、エリクソン社の報告でソフトウェアで起こっていた問題が暗号化処理などに関わる証明書の期限切れであることも分かったという。
障害の影響を受けたのは、約3060万回線。LTE回線だけでなく、障害発生時などにLTE通信をサポートする3G回線にも影響が及んだという。
現在は復旧作業時に切り替えた古いバージョンのソフトウェアでLTE交換機を運用しているが、今後は新しいバージョンへの切り替えを進めるという。再発防止に向け、切り替え時にはソフトバンク側で証明書の確認や更新ができる仕組みも導入する。現在、18台のLTE交換機のうち5台を使って試験運用を行っており、19年1月末までには全交換機のソフトウェアを切り替えを完了する計画だ。
さらに、異常が発生してもシステムが停止しないよう、システム構造の見直しも進める。今後は検出した異常に合わせて、運転の継続とシステムの再起動を使い分ける仕組みを構築するとした。
今回の障害に関する暫定的な対策として、全ての商用設備での証明書の点検も進める。主要な設備の点検はすでに完了し、12月末までに郊外の基地局などでも実施する計画だ。
緊急時に古いバージョンのソフトウェアをすぐに起動するための仕組みも同時期までに整える他、今後導入する新しい設備やソフトウェアについては、ソフトバンク側で3年後、5年後、7年後、10年後といった未来の日付を設定して動作確認を行い、期限切れが発生しないか事前に確かめるという。
LTE交換機についてはエリクソン社製品以外も追加導入し、マルチベンダー化を進める。「これまでコア設備をエリクソン製に依存してきたが、それを見直す。10台以上の交換機を追加し、マルチベンダー化する」(宮川副社長)。同社にとって交換機の追加は過剰投資だが「今回の問題を深く反省し、万が一の事態に備えて取り組むことにした」(宮川副社長)という。マルチベンダー化は19年6月末に完了する計画だ。
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