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Facebook、IT大手への個人データ提供は昨年まで続いていた──New York Times報道

» 2018年12月20日 08時14分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Facebookは、Apple、Amazon、Netflix、Microsoftなどの米大手企業にFacebookユーザーの個人データを提供していたと、米New York Timesが12月18日(現地時間)、入手したFacebookの内部文書と50人以上の元従業員やパートナー企業へのインタビューに基づいて報じた。

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 内部文書によると、一部の企業は本来アクセスできないはずの個人データにアクセスできていた。これは、2011年のFacebookと米連邦取引委員会(FTC)との和解の条件であるユーザーの承認のないデータの第三者との共有禁止に違反する可能性がある。

 文書には、オンライン小売り業やエンターテインメントサイトなどのIT系企業だけでなく、自動車メーカーやメディアなど、150社以上がFacebookから個人データを入手していたことが記されている。これらの企業のアプリは毎月数億人のデータを入手していた。このデータ共有は2010年から2017年まで行われ、一部は2018年まで有効だった。

 例えば、Appleはユーザーがデータ共有を無効にしていてもFacebookの連絡先とカレンダーの予定へのアクセスが可能という。AppleはNew York Timesに対し、こうした特待について気づいていなかったし、iPhoneアプリの個人データはiPhone内に留まると説明した。

 Spotify、Netflix、Royal Bank of CanadaはFacebook Messengerでのユーザー同士の会話を読める状態になっていた。Netflixは公式Twitterアカウントで「Netflixは誰かのプライベートメッセージを読みたいと頼んだこともないし読んだこともない。皆さんのダイレクトメッセージを盗み読みするような企業ではない」と強く否定した。

 Faebookはかつて、ユーザーがFacebookのパートナー企業のWebサイトを訪れるだけでパートナー企業が個人情報を自動的に収集できる「Instant Personalization」の提供を開始。批判の高まりを受けて2010年に設定をオプトインに変更し、2014年には提供を終了した。だが、New York Timesによると、APIは有効なままという。

 Facebookは同日、公式ブログでこの記事について反論。FTCとの和解には違反していないとし、“パートナー企業”に情報を提供するのはiPhoneなどの端末やYahoo!などのサービスにFacebookアカウントでアクセスし、便利に機能を使えるようにするためであり、NetflixやNew York Timesにデータを提供するのはこれらのエンターテインメントやメディアサービスでもユーザーが友達の評価を参照できるようにするためだと説明した。

 同社は、個人データ共有のほとんどの機能は既になくなったとしているが、「われわれはパートナーとのデータ共有および開発者がわれわれのAPIを使って情報にアクセスする方法をもっと厳しく管理する必要があった。現在、すべてのAPIを調査し、APIにアクセスできるパートナーを確認しているところだ」としている。現在もデータ共有が続いていることを認めた形だ。

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