カセットプレーヤーの中にはカセットテープの分だけ空間がある。軸、キャプスタンが突き出ているので、それを回避したスペースとしては、35x57x10ミリ、102x26x10ミリ、62x25x10ミリあたりのモノならば入る。
このサイズのポータブルオーディオプレーヤーがあれば、そこからBluetoothで飛ばせるのではないか。
そう考えて、Amazon.co.jp、GearBest、AliExpressなどで探してみた。
だが、幅が太すぎたり厚みがありすぎたりで、この条件に合致するMP3プレーヤーは探せなかった。第2世代、第3世代のiPod shuffleならば入るのだが、リモコン付きイヤフォンが必要なので、Bluetoothで飛ばすのも、曲を選ぶのも大変そうだ。
そもそも適当なサイズのBluetoothトランスミッターも見つからなかった。
仮にこの試みがうまくいったとしても、ウォークマンを入れ物として使っているだけで、音そのものはここから出てくるわけではない。
ではウォークマンを分解して自分でやってみるか。中身を見てみないとなんとも言えない。そう思って、YouTubeで関連サイトを漁ってみた。
そしたらこんな動画に出くわした。
カセットテープ型のMP3プレーヤーを初代ウォークマンに差し込み、再生している。ちゃんと音が出ている。そして操作はリモコンで。おや、この配色は見たことがある。RAVEMETALみたいなのを探しているときにAliExpressやAmazonで引っかかってたやつだ!
外見からはそれが単にカセットテープのデザインを模しただけなのか、それともちゃんとカセットプレーヤーで再生できるものなのかは区別がつきにくい。あまりにポップなデザインなので見逃していたのだ。
よし、これでいこう。Amazon.co.jpにて2499円で購入。
購入したのは「Anauto [カーカセットアダプタ]」。パッケージには「UPDATED Tape player」とある。AliExpressには同じデザインの別メーカー製品が6種類ほど。
本体以外に梱包されているのはチープなステレオイヤフォン、MiniUSBケーブル、USB-ACアダプター、リモコン、そしてシガーソケット用USBアダプター。内蔵メモリはないので、別途SD、MMCが必要だ。
まず本体だけで試す。
SDアダプターに差したmicroSDカードにMP3ファイルを放り込んで、スイッチをオン。本体の再生ボタンを押す。本体のイヤフォンジャックに接続したイヤフォンから音が出る。このカセットMP3プレーヤーだけで完結もできるのだ。
次に、これをウォークマンのカセットホルダーに差し込む。カセットプレーヤーのヘッドとMP3プレーヤーのヘッドが向かい合い、そこから音が伝わるのだ。
ウォークマンの再生ボタンを押すと、接続したイヤフォンから曲が聴こえる。手元にあった荒井由実の「14番目の月」、ミッシェル・ポルナレフの「ノンノン人形」のMP3が、1970年代のサウンドがウォークマンから流れ出る。
HOT LINEボタンを押している間は音楽のレベルが低くなり、内蔵マイクから外の音が聞こえる。
ハイファイではない。ホワイトノイズは乗ってる。でも悪くない。
ウォークマン側の操作で、ボリュームのアップ、ダウンはできるが、もちろん曲の早送りや巻き戻しはできない。できるのは再生と停止だけ。停止ボタンを押すと、ウォークマンのサウンドは切れるが、MP3プレーヤー側の再生は続いている。
曲の再生、停止、次の曲、前の曲といった操作は、リモコンで行う。ウォークマンのプラスチック窓の下の方に向ければちゃんと機能する。
TPS-L2にはヘッドフォンジャックが2つある。だからそこには「HEADPHONES」と印刷されている。Microsoft Surface Headphonesと違って複数形にはちゃんと根拠があるのだ。
もう1つのヘッドフォン端子は誰かと共有するためのもの。ウォークマンを使っていた当時を知る妻といっしょに聴きたいところだが、残念ながらできない。
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