ある日突然「今日からうちの会社でもAI(人工知能)を使うぞ」と上司からむちゃぶりされた人のために、AI開発のイロハを優しく解説する本連載。あなたは、AIを使って何を目指すのかを決め、AI開発に必要なデータ準備についても確認ができた所だ。
これでいよいよAI開発・運用というスタートラインに立つことになるが、設定されたゴールまで転ばずに到達するためには、どのように進んでいけば良いのだろうか。
上司から突然「ウチでもAIをやるぞ」とむちゃぶりされたものの、どうやって自社でAI(人工知能)を使えばいいか分からない。そんなAI初心者のビジネスパーソン向けに、企業のAI活用や導入のイロハについて分かりやすく解説する連載です(全4回予定)。
「〇〇社はAIを使い、顧客からの問合せに迅速に対応できるようになりました」「AIで将来を正確に予測可能に」「AIで最適な人材を採用できるようにしました」――ちょっと検索するだけで、AIを巡るこのような報道をいくらでも見つけることができる。
AIはニュースバリューが高く、マスコミも積極的に取り上げるため、否が応でも目と耳に飛び込んでくるだろう。こうした話を聞かされると、確かに「AI導入を考えろ!」とむちゃぶりしたくなる上司の気持ちも分かるかもしれない。
しかし企業のAI活用に関するニュースに接したときには、こう考えてほしい――「これはプレスリリースのためのAI導入か、もしくは生存バイアスだ」と。
CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)のように、AIもパッケージを買ってきて導入すればいっちょ上がり、というわけではない(CRMやSFAもそんな簡単なものではないが)。「〇〇社がAIを導入したようだ」というニュースをよく読んでみると、“そのような取り組みを始めた我が社は先進的な企業である”という宣伝(プレスリリースのためのAI)か、優秀で先見の明のあるごく一部の企業が、地道な努力を重ねた上で達成した成果(生存バイアス)であることが多い。
企業におけるAIの実用化はまだ始まったばかりだ。AIの活用形態が無数にある上に、関連技術やアルゴリズム自体が日進月歩で進化しており、この手順で開発すれば100%大丈夫というような勝ちパターンも固まっていない。
さらにAIを活用することを前提とした、新しい業務プロセスを設計する必要もある。やりたいことが決まり、データも十分にありそうだと分かったからといって、明日から本番システムの開発に入れるというわけではないのである。
ではどうするか。たとえ上司に「コストがかさむ」と渋い顔をされても、「PoC」(Proof of Concept、概念実証)を行うことを提案しよう。
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