2018年は、ソニーの犬型ロボット「aibo」や、バンダイの対話型ロボット「ガンシェルジュ ハロ」が発売されるなど、家庭用のペットロボットを身近に感じた1年だった。いずれもAI(人工知能)を搭載し、所有者の言動を学習して成長していくのが特徴だ。
12月18日は、Pepperの開発リーダーだったことで知られる林要氏が、「3年かけて開発した」という家庭用ロボット「LOVOT」(ラボット)を発表。こちらもディープラーニングをはじめとする機械学習技術を活用した高機能な一体だ。
日々進化を続ける家庭用ロボット。特に注目を集めていたコミュニケーションロボットに焦点を当て、この1年を振り返ってみたい。
2018年1月11日、aiboの発売セレモニーが開催され、繭を模した箱の中で寝ているaiboがお披露目された。本体価格は19万8000円(税別、別途サービス利用料)。
06年に生産を終了した「AIBO」から12年ぶりの復活とあり、7月中旬には生産台数が2万台を突破するなど、話題になっていた。
aiboは、所有者とのやりとりのデータを収集し、ソニーのクラウド上に蓄積。AI技術を活用し、賢く成長していく。全身に22軸の超小型アクチュエーターを搭載し、首をかしげる、しっぽを振るといった自然な動作も可能に。「aibo」と呼びかければ反応してくれるし、顎や背中をなでると喜ぶ、まさにペットのような存在だ。
そのリアルな見た目から、Twitterでは「リアルすぎてちょっと怖い」という声も上がったりしたが、本物の犬とaiboの共生実験では、犬がaiboに対して気遣うそぶりを見せ、「生き物」と認識するケースも多いという結果も発表されている。
犬の中には、aiboのお尻のニオイを嗅いだり、aiboにおなかを見せてじゃれあったりと、心を許している様子も見て取れたという。実験を監修した動物学者の今泉忠明氏は、「犬にとって、自分よりも下の存在ができることは精神的な安定につながる。アイボとの共生により、(犬の)ストレスも軽減されていく可能性も大いにある」とコメントしていた。
また、国立成育医療研究センターは12月から、aiboで長期入院中の子どもを癒やせるかどうかの検証を開始。1日当たり20〜30分ほどaiboと触れ合ってもらい、ホルモンの分泌、発言や行動への影響を確認する試みだ。
ロボットが、子どもたちの心のケアに対してどれほどの効果をもたらすのか。ソニー AIロボティクスビジネスグループの矢部雄平さん(事業企画管理部統括部長)は、「(癒やし効果を)定量評価できることは意義がある。その上で、少しでもaiboが子どもにプラスの効果を提供できればうれしい」と、aiboの新たな可能性に期待を寄せている。
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