デジタルツインとは、自動車の走行状態や道路の渋滞状況など物理空間の情報をセンシング端末などを駆使してリアルタイムに取得・解析して、ステータスをモニターやロードマップなどサイバー空間の中で目に見える形に再現する技術を指す。CESのブースで、デンソーはIoTプラットフォームのベンダーであるエコモットから技術協力を得て、ドライブレコーダーの映像をリアルタイムにストリーミングする技術を共同出展した。デモでは複数のコネクテッドカーのカメラから4G LTEで映像を管制室に送って交通状況を把握したり、車車間通信を想定した展開事例を紹介していた。将来は自動運転車の安全走行やスマートシティの交通渋滞緩和のために活用できる可能性も見えてくる。
デンソーのブースにはコネクテッドカーのモックアップ(模型)を使って、MaaS(Mobility as a Service)が体験できるデモンストレーションも用意されていた。例えば、ユーザーがショッピングモールに移動しながら車内で映画のチケットや日用品雑貨を購入し、到着すると映画を鑑賞している間に自動車の洗車や給油、購入した品物を運んでトランクに詰め込んでもらう代行サービス(トランクデリバリー)など、未来の便利なライフスタイルを事例として見せていた。
これらのサービスを実現するためには、コネクテッドカーとクラウドが提供するサービス側の双方にデータをセキュアに通信・管理するための仕組みが求められる。デンソーではブロックチェーン技術を使い、不正なデータの使用や改ざんを防ぐための高度な情報管理技術についても研究を進めている。
デンソーにとってCESの展示は、同社の技術を世界の自動車メーカーやその他モビリティのメーカーに採用を呼びかけるだけでなく、MaaSの実現に向けて取り組む多くの企業に向けてアピールする絶好の機会になっているようだ。ブース内ではセキュリティ分野で協力している米国のDellFer、センシングの米Metawave、半導体分野の米ThinCIなど、既にオープンイノベーションを進めている分野のパートナーと取り組みも紹介していた。同社の広報担当者は、「様々な業種のパートナーと手を組みながら社会のイノベーションに貢献していきたい」と話している。
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