ITmedia NEWS > STUDIO >

街で見かける「あの文字」はフォントじゃないかもしれない? フォントと書体の“あるある”勘違いデジタルネイティブのためのフォントとデザイン(3/3 ページ)

» 2019年01月31日 07時00分 公開
[菊池美範ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「フォント」と「書体」は異なるもの

 さて、皆さんはフォントをどんなものだと考えているだろうか。「フォント=書体」かといわれると、実は少し違う。

 フォントと書体の違いについて、「文字百景」という小冊子の079号で森澤茂さんが書かれているご意見を紹介する。森澤さんによれば、書体は「ひと」そのものであり、フォントはその「ひと」が持っている「ボキャブラリー」だという。つまり、フォントとは「ある書体の・あるシリーズの・ある大きさ」のセットだということだ。

 例えば、ある文字について「この書体はスタンダードな明朝体だね。フォントはリュウミンR-KLで、規格はPro6。Pro6は文字数が多くて結構難しい漢字も変換できるから、住所録をつくるのに良さそうだね」などと説明することができる。

 最後に、このことをもっと分かりやすくアレンジしている「フォント男子!」という連載コミックを紹介しよう。「書体=ひと」としての存在を、フォントにキャラクターを与えることで「ボキャブラリー=性格付け」という学園ストーリーに仕立てたことは、結構すごいことなのである。

 連載第1話のなかで主人公が「夢は立派な“書体”になることです!」と自己紹介の練習をしているシーンなど、分かりやすさと正しい定義を両立させている、よい例えだ。

 フォントメニューで追えないほどの膨大なフォントに振り回されるのではなく、フォントであふれる世界を楽しみながら、次回からはフォントそのものについての実践や探検をしてゆく予定である。

ニュース解説番組「NEWS TV」で記事をピックアップ

ITmedia NEWS編集部がYouTubeでお届けするライブ番組「ITmedia NEWS TV」で、この記事を取り上げています。ぜひ視聴・チャンネル登録をお願いします。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.