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» 2019年02月06日 20時19分 公開

「何のためのAIか考えて」 ゲームAIの実装で重ねた苦労、DeNAが伝えたい“4つのポイント” (1/2)

ディー・エヌ・エーが、技術者向けのイベントを実施。ゲームAIの実装を事例に、AIプロジェクトの進め方のポイントを解説した。

[村上万純,ITmedia]
AI ディー・エヌ・エー(DeNA)の奥村エルネスト純さん(システム本部 AIシステム部AI研究開発第三グループ AI研究開発エンジニア)

 「AIをビジネスに実装する大変さを日々痛感している」――ディー・エヌ・エー(DeNA)でゲームAI(人工知能)の開発・実装などを担当する奥村エルネスト純さん(システム本部 AIシステム部AI研究開発第三グループ AI研究開発エンジニア)は、こう話す。奥村さんは、2月6日に東京・渋谷で開催された技術者向けイベント「DeNA TechCon 2019」に登壇し、AIプロジェクトを進める上で重要な4つのポイントを説明した。

 奥村さんは、同社のスマートフォンゲーム「逆転オセロニア」にAIを導入するプロジェクトを進めてきた。同社はこれまでもゲームAI開発や実装について社内外で発表してきたが、使用したデータやAI技術の詳細、PoC(概念実証)の話がメインだった。今回は、実際に逆転オセロニアにAIを導入し、運用を続けた実績を踏まえ、AIプロジェクトの進め方や、注意すべき点などを振り返った。

「当たり前が一番難しい」 必ず押さえたい4つのポイント

 奥村さんは「当たり前に思えるようなことが一番難しい」とし、AIプロジェクトで意識した4つのポイントを挙げた。

  1. スモールスタートで始める
  2. AI部門と事業部門で期待値を合意する
  3. AIチームの役割を分散する
  4. 目的を見失わない

その1:始まりはスモールスタートで

 まずは、スモールスタートで進めることの重要性について。AIという新しい分野に取り組む際は、そのプロジェクトがどれほどの成果を上げ、事業にどの程度のインパクトを与えるかなどは、実際に開発してみないと分からないことがほとんどだ。

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 奥村さんは「AIプロジェクト最大の課題は不確実性。見積もりも完璧にできず、先が見えない中で期待値ばかりふくらむとリスクが高い」と話す。

 こうした課題を解決するため、同社では「そもそもゲームAIは作れるのか」「勝率を上げることは可能か」といった具合に課題を細かく分解し、それぞれのプロジェクトで工数と予算を算出した。細切れにした各プロジェクトを3カ月単位で検証していくことで、不確実性をつぶしながら継続の判断と工数・予算の調整ができるようになり、意志決定も円滑に進んでいったという。

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その2:期待値の合意

 そして、AIプロジェクトで問題になりがちなのが、AI部門と事業部門における「期待値のズレ」だ。事業部門が過度にAIへ期待するケースもあり、「期待していた成果が得られていない」とがっかりされる例も少なくない。

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 奥村さんは「AIのパフォーマンスは不確実性があるので、結果に一喜一憂しないこと。不確実性の度合いはしっかり認識を合わせておくべき」と強調する。

 同社では、その時点で現実的に着地しそうな「現実ライン」、想定通りの精度が出なかった場合の保守的な見通しである「最低ライン」、プロジェクトとして最大限、夢を持ったときの考え方である「理想ライン」の3つを両部門で共有し、認識をすり合わせた。

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 奥村さんは「特に最低ラインに関する認識が大切」と話す。「AIの精度が上がらなかったときは事業部門とのディスコミュニケーションも増えるので、最低限超えそうなベースラインの認識は重要。何の知見も残らないという最悪の結果は避けたい」(奥村さん)

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