そして、AIプロジェクトは求められるスキルが多岐にわたるため、チーム内で役割を分散して1人当たりの負荷を減らすことも重要だ。機械学習の知識だけでなく、事業に関するドメイン知識やインフラ構築、アプリケーション開発などを全てこなせる人材はそうそういないだろう。
DeNAではスキルごとに専門のチームを抱え、プロジェクトに応じて柔軟にチーム構成を変えていくという。
最後に奥村さんが強調したのは「AIのためのAI開発をしない」ということだ。逆転オセロニアでは、初心者の良き対戦相手となるゲームAIや、デッキ編成(相性の良いキャラクターを組み合わせる)をサポートするAIを実装している。
奥村さんは「エンジニアとしては“強いゲームAI”を作ることに手応えを感じるが、それ自体にプレイヤーのメリットはない。あくまでゲームが面白くなること、面白さを阻害するハードルをなくすることが目的だ」とし、「今回はAIが黒子に徹するくらいの考え方がちょうどよかった」と振り返る。「何のためにAIを開発しているのか?」というそもそもの目的を忘れないことは重要だ。
今回はスマホゲームのAI導入に関する話だったが、これらは多くのAIプロジェクトに通ずる重要なテーマといえるだろう。事業の特性やAI人材の状況など、自社に合ったプロジェクトの進め方を試行錯誤する必要がありそうだ。
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