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RPAで仕事が変わる ロボットと始める働き方改革

「銀行のデジタル化は避けられない」 RPAで20万時間の業務削減へ 横浜銀行の挑戦特集・RPAで仕事が変わる(1/2 ページ)

» 2019年02月15日 12時45分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 2020年3月までに約300業務で年間20万時間以上の業務量を削減する――横浜銀行がそんな目標を打ち出している。同行は2017年からRPA(Robotic Process Automation)を導入し、それまで手作業で行っていた定型業務を自動化する取り組みを行っている。17年10月の本格導入から約半年間で、5業務を対象に5000時間を削減するという“スタートダッシュ”を決め、社内でも好評という。

 「銀行のデジタル化は避けられない」――そう話すのは、同行の古屋信幸さん(総合企画部 デジタル推進プロジェクトチーム プロジェクトマネジャー)。同行のRPA導入は、他の地銀と比べても「早い部類」だというが、それほどまで効果をあげられたのには、どんな工夫があったのか。舞台裏を聞いた。

photo 2017年10月からRPAを導入している横浜銀行

最初の半年間で、5000時間の業務量を削減

 古屋さんは「銀行は昔からある業種なので『紙』が多い。お金を取り扱うので、さまざまな証拠を残さなければならず、マニュアルに沿って、たくさんの事務がある」と話す。銀行業務というと、まず窓口業務を思い浮かべる人も少なくないが“裏側の事務”も多い。最初にRPAを導入した「税務調査回答書作成業務」もその一つだった。

 税務調査回答書作成業務は、市役所、区役所などから届く、市民、区民の税務調査に関する依頼に対し、預金残高や取引明細、契約有無の確認などを銀行側が調べて回答するというものだ。横浜銀行の場合、これらの作業を各支店ではなく本店が入ったビル(横浜市)に集約し、一括して処理していた。

 問い合わせの項目はさまざまで、依頼書の様式も自治体によって異なる。従来は、行員が1枚(1人分)ずつ口座番号などを照会し、PC画面に表示される情報を紙に転記し、次の行員に渡す。その行員が別の項目を照会して書き込む――という作業を繰り返し、完成した書類を返送していた。1日に届く100〜200件ほどの依頼書に15人の行員が対応していたため、「きょう依頼が届いても明日返送するのは難しかった」(古屋さん)という。

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