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「本当の失敗は、途中で諦めること」 AI開発は失敗に学べ、ミクシィが“ゼロからの挑戦”で得た教訓これからのAIの話をしよう(カスタマーサポート編)(2/4 ページ)

» 2019年02月22日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

「忙しそうだから……」 過度な遠慮で起きた悲劇

 豊川さんたちは、「メールを分類する業務」に着目し、AIで自動化しようと考えた。「分類」は機械学習の得意分野の1つ。CSスタッフが手作業する負担も大きかったので、返信にかかる時間を大幅に削減できる見込みがあった。

ミクシィ メールを分類する業務に着目(豊川さんのエントリより引用)

 しかし後から振り返ると、ここで大きな失敗が起きていた。どこをAIで自動化するかの要件定義について、マネジャーレベルでは部門間で共有できていたものの、基本的にはエンジニア主導で決めたのだ。

 豊川さんは当時を次のように振り返る。

 「CSの現場は全く余裕のない状態が続いていたので、忙しいCSスタッフの手を煩わせてはいけないとヒアリングもためらってしまいました。そして、CREグループのエンジニアが主導してプロジェクトを進めたのです」

ミクシィ ミクシィグループが運営するサービスは多岐にわたり、問い合わせの量も膨大になる

 AI開発の経験がなく、CS業務のドメイン知識が不足している状態だったが、CREグループのエンジニアで前向きに目の前の課題へ向き合った。

 豊川さんたちは、CSスタッフが手動でメールを分類した結果を教師データとしてAIに学習させ、未知のメールについて自動分類させようと考えた。

 例えば「決済方法は何がありますか?」という問い合わせが来たら「決済」というカテゴリーに分類するといった形だ。メールの本文に前処理を施してベクトル化し、機械学習のモデルに入力してそれぞれ分類させた。

 機械学習の実装経験があるエンジニアがいなかったので、技術書を読むことから始めたという。

 「幸いにも、社内でAIやロボット開発に取り組んでいる部門があったので、分からないことがあればすぐに聞くことができました。今回のプロジェクトは通常業務+αで取り組んでいたので、部門を超えて気軽に技術協力を仰げたのはありがたかったです」(豊川さん)

 AIの学習結果は「良好」だったが、先述したコミュニケーション不足が原因で異変が起きた

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