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AI導入はPDCAから“DGWA”サイクルへマスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(2/4 ページ)

» 2019年02月26日 07時00分 公開

Dは「Do(実行)」

 では、出川(DGWA)サイクルの詳細を説明しましょう。

 AI導入におけるPDCAサイクルの問題は、Plan(計画)がまとまらないという点でした。ここで時間をかけて情報収集や会議を行っても、進展はありません。

 対して出川(DGWA)サイクルの「D」は、最初に「Do(実行)」です。中には「計画は必要」「リスクが大きい」など否定的な意見もあるでしょう。そこで、出川さんに当てはめてみましょう。

 リアクション芸人が熱湯風呂やアツアツおでんを前にすると、まずやることは「殺す気か!」「訴えるぞ!」という否定です。しかし否定はしながら、どんな困難でも必ず「Do(実行)」します。つまり日本社会における「本音と建前」です。

 危険な行為ではありますが、そこにはリアクション芸人の“工夫”(ヤラセではありません)があります。仕事でも「無理」「難しい」といわれる状況を現場の“努力”(改ざんではありません)で突破するのです。熱湯風呂やアツアツおでんによるリアクション芸と、工場における品質向上や業務改善には、先人の知恵と経験の積み重ねによって「安全第一」で成り立っているという共通点もあります。

 また、「Do(実行)」では小規模かつ試験的なAI導入を推奨します。小規模であれば、試行錯誤が前提となるAI導入を進めやすいからです。

 クラウドサービスならば従量課金制なので費用は抑えられますし、一から環境を整える必要もありません。クラウドサービスが全面禁止の会社でも、画像認識などさまざまなライブラリや開発ツールが無償で提供されているので、社内で開発環境を整えてもいいでしょう。ネット接続やツールのインストールも禁止する会社なら、転職を検討しましょう。

 弊社に寄せられるAI導入の相談でも、「自力でやってみたけどうまくいかなかった」という事例があります。そういった企業がクラウドサービスを活用すれば自社でノウハウを蓄積できるので、問題点や改善点も見つけやすいでしょう。自力でAI導入に挑戦できる会社は成功率も上がります

Gは「Go for Broke(当たって砕けろ)」

 2番目の「G」は、「Go for Broke」です。意味や表現は複数ありますが、プロレスラーの故・マサ斎藤選手とテリーマン(漫画「キン肉マン」のキャラクター)をリスペクトし、本記事では「Go for Broke=当たって砕けろ」と定義します。業務におけるAI導入を試行錯誤する段階です。

 よく誤解されるのですが、他社の成功事例をまねるのは良い手ではありません。自社とは環境もデータも異なるため、同じやり方をまねても成功する保証はないからです。自社業務のAI導入は失敗覚悟の体当たりで挑戦しなければいけません。

 ここで、出川さんに目を向けてみましょう。いまも昔も体を張ったリアクション番組に出演していますが、どれも危険な企画ばかりです。危険が故に番組のADが事前に試すことは難しく、出川さんが本番で体を張って挑むしかありません。失敗を繰り返すことで、初めて定番・鉄板となるリアクション芸が生まれるのです。

 「Go for Broke」は何度も挑戦すること、失敗を恐れないこと、失敗を糧にすることを指します。AIを活用できる業務を探すにはまず試すしかありませんし、AIは完璧な精度や確実な動作を保証できません。失敗や試作を繰り返してでも、自社だけのAI導入計画で完成度を高めていきましょう。

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