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日本漫画家協会、「ダウンロード違法化」見直し求める声明発表 「丁寧で十分な審議を要望する」

» 2019年02月28日 12時50分 公開
[ITmedia]

 日本の漫画家で構成する日本漫画家協会(会長・ちばてつや氏)は2月27日、ダウンロード違法化の対象範囲を拡大する著作権法改正案について、「表現や研究などの萎縮はもとより、人権の制約につながることが決してないように、丁寧で十全な審議を要望する」と、見直しを求める声明を発表した。

photo 「ダウンロード違法化の対象範囲見直し」に関する声明

 同協会は、著作権法改正を漫画の海賊版サイトなど、日本の現行法では取り締まれない「脱法サイト」への対策であると捉え、改正措置の改善を提案。民事的規制と刑事罰のいずれについても、繰り返し複製を行う反復行為を対象とすること(こちらは刑事罰のみ)、原作漫画などを丸ごと複製する行為を対象とすること、これらは権利者の利益が不当に害される場合に限定することの3点を提言している。

 違法にアップロードされたことを知りながら、コンテンツを私的にダウンロードする行為を著作権法違反とする範囲を、漫画や論文など著作物一般に拡大する政府方針について、有識者からは「漫画村のようなストリーミング方式のサイトには効果がない」「漫画などの研究や創作を阻害するおそれがある」といった批判の声が上がっていた。

 今年1月には、漫画研究者などがつくる日本マンガ学会が反対声明を発表した他、2月8日には漫画家の竹宮惠子さん、赤松健さんなどが集会を開き、懸念を表明。19日には法学者や弁護士など84人と1団体が連名で「慎重な議論を重ねることが必要」とする緊急声明を発表している。

 一方、新聞各社などの報道によれば、自民党は著作権法改正案について22日の合同会議で了承。国会に提出し、成立を目指す方針という。

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