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「金」を手にしたYouTubeマン 「知識の高速道路」を加速するもの新連載「動画の世紀」(3/4 ページ)

» 2019年03月12日 10時36分 公開
[小林啓倫ITmedia]

Web動画でオリンピックへ

 その効果がどれほどのものか、前述の「YouTubeの時代」では、ジュリアス・イエゴというスポーツ選手の例が紹介されています。どんな選手なのか、まさにYouTube上に紹介映像がアップされていますので、そちらもご覧下さい。

 彼はケニア出身で、子供のころ、やり投げに夢中になります。しかしケニアは、陸上競技のトラック種目では多くの優れた選手を輩出していたものの、それ以外の種目では指導者は存在しません。そこで彼は地元のネットカフェに行き、世界記録を出しているような著名なやり投げ選手の映像をYouTubeで視聴。それを通じてやりを投げる動作と、トレーニング方法を学んだ結果、彼は2015年の世界選手権で金メダルを獲得することになりました。

photo イエゴ選手はYouTubeでやり投げの方法とトレーニングを学んだ

 イエゴ選手はこの快挙に「私のコーチは、自分とYouTubeの動画です」とコメントし、地元で「YouTubeマン」と呼ばれる有名人になったのです。

 アロッカさんはこうした事例を、決して驚きではないと言います。彼は「視覚的教材を使用する学習法は、他の学習法よりも前に登場しており、私たちの多くは1歳になるころから、視覚的イメージを正しく理解することができる」と指摘し、実際に研究を通じて、人間の脳自体が映像による学習に最適化されている可能性があることを紹介しています。座学形式の教育映像コンテンツは、これまでもカーンアカデミーやTEDといった例があり、その発展形としてMOOCsといった分野まで登場しています。しかしそれにとどまらず、体を動かすことが求められる学習においても、Web動画が有効である可能性が高いわけです。

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