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「金」を手にしたYouTubeマン 「知識の高速道路」を加速するもの新連載「動画の世紀」(1/4 ページ)

» 2019年03月12日 10時36分 公開
[小林啓倫ITmedia]

 20世紀は「映像の世紀」でした。現在が「動画の世紀」に突入しているのだとすれば、そこにどんな変化が起きているのか。「YouTubeの時代」訳者の小林啓倫氏が描く新連載、スタートです。


 「映像の世紀」というドキュメンタリー番組をご存知でしょうか。

 NHKが1995年から96年にかけて放送したもので、全世界から集められた貴重な映像をもとに、20世紀とはどんな時代だったのかを描くという内容でした。続編にあたる「新・映像の世紀」が2015年から16年にかけて放送されたので、それで知ったという方も多いでしょう。

 20世紀はまさに「映像の世紀」でした。19世紀の終わりに、フランスのリュミエール兄弟が「シネマトグラフ」と呼ばれる映写技術を確立したことで、20世紀にはさまざまな歴史的事件が映像で残されることになります。また映像は映画やテレビといったエンターテインメントとして使われたり、政治家の主張を伝えるプロパガンダのツールになったり、逆に彼らの不正を暴くジャーナリズムに活用されたりと、さまざまな使われ方をするようになりました。

 一方、21世紀を「新しい映像の世紀」だと指摘する人もいます。

 それはデジタルカメラのついた携帯電話やスマートフォンが普及したことで、誰もがいつでも映像を撮影できるようになり、より多くの出来事が記録に残されるようになったためです。あらゆる事件や事故、各種のイベントが映像化される可能性のある時代、それが21世紀だと言えるでしょう。実際、「新・映像の世紀」の最終回となる第6集には「21世紀の潮流・あなたのワンカットが世界を変える」というタイトルがつけられ、公式サイトでは次のような解説がなされています

誰もが撮影者となり、世界のあらゆる出来事が映像化される時代。スマートフォン、監視カメラ、そしてYouTubeには1分間に400時間を越える映像がアップされ続ける。21世紀こそ真の「映像の世紀」なのかもしれない。

photo NHK「新・映像の世紀」公式ページより

 しかしYouTubeだけで1分間に400時間分の動画がアップされる時代、それは過去の「映像」と同じものと言えるでしょうか。しかも最近話題のショート動画共有アプリ(TikTokなど)やライブ配信アプリ(17 Liveなど)で共有される動画も含めれば、「動画」には質的な変化も起きていると考えられるのではないでしょうか。

 仮に現在が「動画の世紀」に突入しているのだとすれば、そこにどんな変化が起きているのか。その端々を捉えてみたいと思います。

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