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もう「日本スルー」はなくなる? 技適なし最新端末が日本で使えるように(前編)(3/3 ページ)

» 2019年03月26日 16時20分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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2020年の春頃には利用可能になる?

 届け出の項目で「相当基準適合の確認方法」というのがある。これは補足説明が必要だろう。届け出る端末が、技適に相当する技術基準を満たしていることをどのような方法で確認したのか、と問うている。通常は、米国のFCC(連邦通信委員会)や欧州のCEの認証を得ている端末を届け出ることになると思うので、ここは、その旨を明記することになる。

 FCCやCE認証を得ている端末であれば、IEEE等の規格に準拠していることになり、結果的に「相当基準」に適合していることが確認できる、というロジックだ。ただ、FCCやCEの認証端末でないと受け付けない、という意味ではない。「FCCやCEの認証がなくとも、技適の基準を満たしていることが適切に確認できれば受け付ける」(山内氏)という。

 未認証端末の届け出を行い、試験を実施する際に利用者として注意すべき点がある。届け出を実施した場合でも、日本で使われていない周波数帯の電波は放射してはいけないという点だ。例えば、米国や中国のWi-Fi機器は、5.8GHz帯の帯域に対応している。しかし、日本では、5.8GHz帯はETCに割り当てられており、Wi-Fiでは使われていない。

 この電波を放射してしまうと違法に問われる恐れがある。特例制度の下の試験であっても、ソフトウェアの設定等で、日本未使用の帯域の電波は放射しないようにする必要がある。これは、特例制度を利用する者の義務であり、性善説に依拠した考え方ともいえよう。

photo HomePodのFCC認証情報を示すWebページには、5.8GHz(5.745〜5.825GHz)に対応していることが明記されている

 先程、端末の台数の部分で「立ち入り検査」というキーワードが登場し、ちょっとばかり、穏やかならざる印象を受けてしまったが「立ち入り検査のようなエンフォースメント(行政権の行使)の余地を設けているからこそ、今回の特例制度のような、性善説に基づく柔軟な制度設計が可能になった」(片桐氏)のだという。

 今回の特性制度は、Wi-FiやBluetoothといった近距離無線端末以外に、LTE等携帯電話のネットワークを利用する試験も念頭に置いている。前述の訪日外国人向の90日間の特例制度の「試験・実験版」といった位置づけなので、Pixel 2のような技適未取得のスマートフォンであっても、携帯電話キャリアのネットワークに接続して試験等を実施可能だ。ただ、この場合の届け出(契約)先は、キャリアの窓口になる可能性がある。

 この改正電波法は、おそらく今通常国会で可決されるであろう。その後、実効レベルでの細かなルールを盛り込んだ総務省令等がパブリックコメントや電波監理審議会の答申を経て整備され、改正法は可決後1年以内に施行される段取りだ。2020年の春頃には、今回の特例制度を盛り込んだ電波法が施行され、晴れて技適未取得端末の試験や実験を行うことが可能となる。もし、そのときまでHomePodの日本発売がなければ、音楽制作業を行いApple Musicに楽曲を提供する筆者は真っ先に「HomePodの音質評価」という目的で届け出を行うとしよう。

後編に続く)

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