スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(FGO)などを開発、運営するディライトワークス(東京都目黒区)は3月27日、社内に従業員向けゲームセンターを新設することを発表した。創作活動の刺激や、社外との業界交流を狙う。高田馬場ゲーセン・ミカド(東京都新宿区)が協力し、アーケード筐体の選定や貸し出しを行う。
ディライトワークスが開発するアーケードゲーム「Fate/Grand Order Arcade」の他、「国盗り合戦」(双六ゲーム)、「IRON MAN PRO」「AC/DC」(ピンボール)、「スペースハリアー」(シューティングゲーム)、「ストリートファイターII」「MELTY BLOOD Actress Again Current Code」(格闘ゲーム)など、70年代から現代までの計11種類の筐体を設置した。
同社クリエイティブオフィサーの塩川洋介さんは、「社内のクリエイターたちがゲーセンでFGOアーケードを遊んで開発に生かしていることから、いずれ社内に筐体を設置しようと思っていた。どうせなら、本格的に『ゲーセン』と呼べるものにした方が社内外に良い影響があるのではないか」と設置の狙いを語る。
同社は18年3月に、社内にボードゲームを遊べるカフェを設置し、社内教育や業界交流に役立ててきた。定期的に交流会を開き、社外から延べ700人超の業界関係者が遊びに来ているという。社内教育では、新人教育の一環で行ったオリジナルボードゲーム制作に生かした。
ボードゲームカフェと同様に、ゲームセンターでも「企業対抗戦」のような交流会を今後開いていきたいと話す。
設置されたゲームは基本無料で遊べるが、FGOアーケードについては社員でも外のゲームセンターと同様に1プレイ100円とした。「FGOアーケードはお客さんと同じ気持ちで遊ぶのが重要」(塩川さん)
“ゲーセン”に置く筐体をチョイスし貸し出すのは、高田馬場と池袋に店舗を持つ「ゲーセン・ミカド」の池田稔店長だ。
ミカドはレトロアーケードゲームを中心に筐体を取りそろえるゲームセンターで、高田馬場店は今年で10周年を迎えた。
話は塩川さんから池田店長に持ちかけた。社内にゲーセンを作ると聞いたときは「全く意味が分からなかった」(池田店長)と振り返る。
「アーケードゲームは“場”が重要。塩川さんがそれを理解してくれているのがうれしい」と池田店長は話す。
「昨今、家庭用ゲーム機やスマホゲームなど娯楽の幅が広くなり、ゲーセンの需要は減少している」と、ゲームセンターの現状を説明した上で、「ミカドが成功しているのは、ライブ感を出していることだ」という。
「1人でビールを飲むより仲間と飲んだ方がおいしいように、アーケードゲームも仲間やコミュニティーがあるところでなら100円使っていいと思える」(池田店長)
池田店長は、レトロゲームでも若いクリエイターたちに遊んでもらえるだろうと自信を見せる。
「ミカドを10年間やってきて、『タイトル(の年代)は関係ないな』という結論を得ている。レトロゲームならではの、単純ゆえの理不尽さを楽しんでもらいたい。それは若い子たちにも通用すると思う」
社内ゲーセンに設置する筐体は、池田店長が選定して毎月適宜入れ替えていく。ディライトワークスの社内外に良い影響をもたらす場となるか。
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