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「ボカロPになる」「デザインで生きていく」――N高が恒例“VR入学式”開催、夢持つ新入生集う(2/2 ページ)

» 2019年04月04日 18時58分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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ノーベル賞受賞者・大村智氏も“VR祝辞”

 VR映像として流された奥平校長の式辞では、「今までの高校では、指示されたことをミスなく早くこなす能力や、基本的な読み書き能力や理解能力が求められていました。オリジナリティーや人と違う視点は求められず、評価されませんでした」と従来型の指導法をチクリと刺す場面もあった。

 「これからはAIが社会に入ってくるため、人間は決められたことだけをやる能力ではなく、自分で考える能力が求められます。N高は自分で時間割を決め、自分で勉強することを決める方針です。学校で何かを教えてもらうのではなく、学校を使って何を学ぶのかを考え、興味を持ったことをどんどん追及してください」(奥平校長)

photo 奥平博一校長による“VR式辞”

 また、来賓祝辞として、15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学特別栄誉教授の大村智氏もVR空間で登壇。「『ノーベル賞を受賞した人は頭がいい』と思われるかもしれませんが、私は自分を優秀だと思ったことはありません。小さいころから忘れ物の常習犯で、劣等意識をカバーするために努力してきました。エジソンも白熱電球を発明するまでに2万回も失敗したといわれています。成功した人は困難な道で苦労を重ねているのです」と語り、失敗を恐れず挑戦し続けることの重要性を説いた。

photo ノーベル賞受賞者・大村智氏による“VR祝辞”

“ネット遠足”など多様な行事で成長

 入学式ではこのほか、新入生による校歌「代数Nの方程式」の斉唱も行われたが、緊張や気恥ずかしさからか、歌う生徒は少なかった。ただ、最後の記念撮影で奥平校長がサプライズ登場すると、「VR映像じゃなくて本物が来た!」と笑いが起き、新入生同士で写真を撮ったり、同級生と談笑したりする様子がみられた。

 新入生はこれから、ネットで授業を受けつつ、文化祭(4月)、ニコニコ町会議(7〜10月)、スタンフォード大学への留学プログラム(8月)、闘会議(翌年2月)、「ドラゴンクエストX」の世界で行われる“ネット遠足”(2〜3カ月に1回)――といったイベントにも出席し、知性・感性を磨いていく。

photo サプライズ登壇した奥平博一校長

 角川ドワンゴ学園によると、19年3月に卒業したN高1期生のうち81.8%の進路が決まっており、通信制高校の進路決定率の全国平均(61.5%、文部科学省の調査を基に同学園が集計)を大きく上回ったという。

 中には、早稲田大学や慶応義塾大学などの難関校に合格した生徒も存在する。19年度の入学者がこれからの3年間でどんな成長を遂げ、どんな進路を歩むのか、楽しみに待ちたい。

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