「音楽と絵が好きで、ボカロPとイラストレーターを目指して活動しています。活動にはお金がかかるから、アルバイトもしたい。できることを増やすために、ネットの高校に通うことにしました」――角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校「N高等学校」(N高)に入学したばかりの女子生徒は、取材に対してこう話す。
別の新入生は、「エンジニアの両親の影響もあって、将来はWebデザイナーになりたいんです。高校生のうちにWebデザインを学びたいし、海外留学もしたい。普通の高校と違ってこれらにチャレンジできるから、N高に入りました」と入学の理由を説明する。
N高は4月4日、東京・新宿の映画館「新宿バルト9」で入学式を開催。出席したのは、2019年度の新入生約4000人のうち、冒頭の2人を含む約50人。例年通り、新入生がVRヘッドセットを装着し、スクリーンに投影されるVR映像を視聴するという内容で、奥平博一校長が式辞を述べる映像などがディスプレイ越しに放映された。欠席した新入生向けには「ニコニコ生放送」で入学式の模様が生中継された。
N高は2016年に設立。時間・場所を問わずネット上で授業を受けたり、レポートなどを提出できたりする点、eスポーツなどネット上で練習できる部活動が充実している点――などが特徴で、3年間で高卒資格を取得できる。
ジャーナリストの田原総一朗さんや声優の松本梨香さんらを講師に招いた特別授業やプログラミング教育などの課外授業も行っている。フィギュアスケート選手の紀平梨花さんらスポーツ選手が在籍し、遠征や練習の空き時間にスマートフォンやタブレットで授業を受けていることでも知られる。
こうした点を魅力に感じ、19年度も「自分の得意分野を伸ばしたい」「やりたいことを突き詰めたい」という意志を持つ新入生が多く集まった。
新入生代表として宣誓を行ったのは、「SASUKE」名義でトラックメーカーとして活動する原口沙輔さん。原口さんは中学生時代に、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんによるユニット「新しい地図」に楽曲を提供した実績もある“逸材”だ。
原口さんは宣誓で「一度きりの人生、好きなことをして生きていきたいです。N高に行けば、もっと音楽に時間を使えます。今は愛媛県に住んでおり、音楽活動で東京に行く機会が増えているのですが、N高のスタイルではいつでもどこでも授業を受けられます。本当にいいタイミングでN高に出合えました」と語り、音楽活動と学業の両立に高い意欲を見せた。
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