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「エイプリルフール」がいろんな意味で笑えない理由ITりてらしぃのすゝめ(1/2 ページ)

» 2019年04月10日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 今年のエイプリルフールは、新元号の発表も相まって例年より目立たない印象ではあったものの、その裏にはいろいろと気になることも起きていました。

 ネット上におけるエイプリルフールは一時期に比べると沈静化しており、マイクロソフトや日産自動車に至っては事前に不参加を表明していました。特にマイクロソフトは「得るものより失うものが多い」「IT業界が現在直面している逆風を考慮した」とコメントしており、逆風=フェイクニュースがはびこる現状を踏まえた判断だという点に共感を覚えました。

 そしてもう一つ興味深いと思ったのは、ニュースリリースを配信するPR TIMESの判断です。エイプリルフールはある意味、奇抜な宣伝を行い注目を集める格好のチャンスともいえますが、その内容が「ウソ」である以上、それを読者がはっきりと判別できるようにすべきです。PR TIMESはエイプリルフールのリリースであることが分かる配信者向けの「フラグ」を用意し、受け取る側はエイプリルフールフラグがついた“ウソのリリース”を受け取らない設定にすることが可能になっていました。

エイプリルフール PR TIMESのエイプリルフールに関するプロジェクト

 少々余談になりますが、インターネット技術の標準化を推進する組織、IETFが2003年4月1日に公開したRFC 3514「IPv4ヘッダーにおけるセキュリティフラグ」を思い出しました。これはインターネットの通信で使われるIPv4の仕様において、当時、Outlook Expressなどを対象としたコンピュータウイルス(ワーム)が猛威をふるっていたことを受け、「悪意のある通信は“悪意フラグ”を立てて排除しよう」というジョークです。これさえあれば、そのフラグを見るだけでインターネットは安全になるはずなのですが、残念ながら普及はしていません。

連載:ITりてらしぃのすゝめ

「身近な話題を例にITリテラシーを高めていこう」がコンセプト。さらっと読めて人に話せる、すぐに身につく。分かりやすさ重視で解説。小ネタも扱います。

(編集:ITmedia村上)

分かりやすいエイプリルフールの危険性

 企業が行うエイプリルフールはまだ数は多いものの、以前ほど大きくフィーチャーされなくなっている印象です。しかし、Twitterでは「エイプリルフール」がトレンド入りするなど多くのウソが流れていました。私もいくつか観測しましたが、その内容はほんの少し、危険性があると思いました。

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