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ソニーのおもちゃ「toio」、プレステのノウハウでパワーアップしていた体当たりッ!スマート家電事始め(2/3 ページ)

» 2019年04月11日 07時00分 公開
[山本敦ITmedia]

プレステのゲーム開発ノウハウがtoio専用タイトルに

 SIEのゲームコンテンツプロデューサーとして「みんなのGOLF」などのヒット作を手がけてきた小番さんの目には、toioのプラットフォームがどのように映っていたのだろうか。

 「toioがソニーのSAPプロジェクトで開発されていた頃から興味を持っていました。その後、toioのプロジェクトに参加を申し出て、チームに合流。SIEに移管した後も、toioが自分に新しいものとの出会い、知見を広げるチャンスをもたらしてくれるだろうと考え、引き続きチームに参加しています」(小番さん)

toioの新作タイトル「GoGo ロボットプログラミング〜ロジーボのひみつ」

 toio自体は子どもたちにロボットプログラミングへの興味を喚起することも目的にしているスマートトイだが、「プログラミングを学ぶこと自体が、toioの専用コンテンツになる」と考えた。それがきっかけで、小番さんは新作「GoGoロボットプログラミング」の企画を立ち上げる。

 「私がtoioのチームに参加した時にはちょうどプロトタイプによるユーザーテストを実施していました。子どもたちが“めいれい”を入力してコア キューブを迷路から脱出させるゲームに夢中になる姿はとても楽しそうでした。動くロボットを制御するという行為は、大人も、子どもも楽しいと感じるものであることが分かり、ロボットプログラミングをテーマにしたゲームを発案したのです」(小番さん)

 筆者も「GoGoロボットプログラミング」を体験した。絵本仕立てのストーリーボードにはいくつもの課題が収録されている。これを主人公の「けいすけくん」と「りんかちゃん」、キューブ型ロボットの「エンタくん」と「コロンちゃん」、いたずら好きな「ラグくん」と一緒に試行錯誤を繰り返しながらクリアしていく。

見開きページが一つのテーマになっている

 ストーリーボードの見開き2ページにはテーマの解説と、すごろくのマス目のようなプレイフィールドが描かれている。「めいれい」カードをパズルのようにつなげ、テーマをクリアするためのプログラムを作成した後、エンタくんに読み込ませてボードの上を走らせる。するとエンタくんはコミカルに動き、かけ声やBGMがtoioコンソールから再生される。にぎやかで飽きない演出だ。上級者向けのテーマは、大人でもちょっと頭を使わないとクリアできないレベルに設定されている。そして導き出せる答えは1つではない。親子で答え探しに夢中になりそうだ。

紙のブロックをつなげてロボットを動かすための「めいれい」を作る。筆者もちょっと難しいテーマに挑戦してみた

 「toioと同時に発表された専用タイトル『トイオ・コレクション』と『工作生物ゲズンロイド』には、toitoを使ってこんなことが楽しめるということを表現する役割がありました。まだ出し切れていないtoioのポテンシャルの一つをGoGoロボットプログラミングでお見せできると考えました。これからtoioに、SIEがプレイステーション用タイトルで培ってきたゲームクリエーターのノウハウが注入できると思っています」(小番さん)

 小番さんは「持続的にゲームを楽しませるためのモチベーション作り」にこだわりがあるという。「GoGoロボットプログラミング」の場合も、期限内に課題をクリアするともらえる報酬やゲームのストーリー展開、リアクションの演出によってプレーヤーを引き込む工夫が随所に盛り込まれている。プレーヤーを飽きさせないノウハウが詰まっているのだ。

ブロックをつなげ、エンタくんを歩かせるとプログラムを読み込んでくれる

 例えば一つのテーマをクリアすると「バッジ」が入手できる。バッジは「花」「家」「ひよこ」の3種類。ヒント通りに課題をクリアすると「花」のバッジ、ヒントにない独自の方法でクリアすると「家」「ひよこ」のバッジだ。toioコンソールのディスプレイにユーザーが集めたバッジのコレクションが表示されるため、プレーヤーの収集欲が刺激される。このあたりにプレイステーションのゲーム開発で鍛えた演出の妙がありそうだ。

toioコア キューブにキャラクターを装着。左からエンタくん、コロンちゃんといたずら好きなラグくん
エンタくんをスタート地点にセット
ゲームをクリアすると3種類のバッジがもらえる

 プレーヤーはゲームにのめり込むうちに、いつの間にかロボットプログラミングの基本が身につく。バッジのコレクション履歴はカートリッジのメモリに3件まで保存されるため、親子や兄弟で競いながら遊べる。

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