Amazon.comのAIアシスタント「Alexa」にユーザーが入力した音声の一部をAmazonのスタッフが聞いている――米Bloombergがこう報道し、「盗聴ではないか」と話題になったが、日本でも、Alexaに入力された音声を聞くスタッフがいるようだ。(追記あり)
アマゾンジャパンは複数の求人サイトを通じて、Alexaを通して集められた音声データのテキスト化などを行う在宅勤務の契約社員を募集している。テキスト化した音声データにタグを付けるなどして、Alexaの音声認識技術向上に役立てるという。
求人サイトによると仕事内容は、Alexaに入力された音声をヘッドセットで聞いてテキスト化し、タグ付けやデータの意味づけなどを行うというもの。ネイティブに近い日本語能力や国語力が必要だ。在宅勤務で、給与は時給1300円。実働8時間のシフト制になっている(1日8時間・月20日間勤務で月額換算20万8000円〜)。
米Bloombergの報道によると、Amazonには会話のアノテーション専任の従業員が各言語ごとに数千人いて、1人につき1日当たり1000件前後の録音を処理しているという。AmazonはBloombergに対して、「ごくわずかなサンプルを、顧客体験向上のために使っている」と説明。ユーザーの名前や住所などは分からないようになっているほか、従業員とNDA契約を結び、作業で得た情報は口外しないことになっているとしている。
Alexaのプライバシー設定ページには「機能向上のためのAlexaデータ管理」という項目があり、「この設定を有効にすると、音声履歴が新機能の開発に使われる場合があります」とあるが、人間が聞いているかどうかは明記されていない。設定は無効にもできるが、「この設定をオフにすると、新機能がうまく機能しない可能性があります」と書かれている。
アマゾンジャパンに求人について取材したところ、「Amazonの求人内容については、本募集に限らず、記載されている内容以外の詳細は開示していない」とコメントした。
また、Bloombergの記事については、以下のようなコメントを出している。
「Amazonでは、お客様の個人情報の保護とプライバシー性を非常に重視しております。お客様のAlexa利用体験を向上させるために、不特定のお客様との極めて限定的な音声対話のみ分類・整理しています。例えば、この情報が音声認識や自然言語認識機能の改善に寄与することで、Alexaがお客様のリクエストをより正しく理解し、すべてのお客様にとって優れたサービスを提供することを可能にします。
Amazonは厳格な技術的および運用上の保護措置を講じており、いかなるシステムの濫用も容認しません。上記プロセスにおいて、従業員は個人やアカウントを特定できるような情報に直接アクセスすることはできません。これらすべての情報は高い機密性を確保したうえで取り扱われており、Amazonは情報へのアクセスを制限する多要素認証およびサービスの暗号化を用いると共にそれらの制御環境の監査を行っています。また、お客様はいつでもご自身の発話履歴を削除することができます」
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