シャープは4月24日、第5世代IGZO(酸化物半導体)をモバイルから大型テレビまで幅広い用途の液晶パネルに展開すると発表した。昨年11月に発売した80V型8K液晶テレビ「8T-C80AX1」を皮切りに「全面展開」(同社)を図る。
IGZOは、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)により構成される酸化物半導体で、ディスプレイを駆動するTFT(薄膜トランジスタ)の材料として用いられる。従来のアモルファスシリコンTFTに比べて電子の動きやすさ(電子移動度)が桁違いに高いのが特徴。またTFTの小型化も可能になり、液晶の開口率を上げて明るい画面を実現する。
シャープによると、第5世代IGZOの電子移動度は16年に発表した第4世代の約1.5倍。アモルファスシリコンTFTの約30倍に相当するという。8Kテレビの8T-C80AX1では、これを生かして高い輝度を維持したまま、毎秒120フレーム表示(120Hz駆動)を可能に。HDR(ハイダイナミックレンジ)対応の新バックライト技術を合わせるとピーク輝度は従来モデル(LC-70X500)の4倍に達する。
また「低消費電力や大画面化が可能となる点で有機ELディスプレイの駆動用TFTとしても非常に適している」(シャープ)として有機ELパネルへの第5世代IGZO採用も計画中。12.3型のフレキシブル有機ELを試作した。
シャープは三重県の亀山第2工場(亀山市)と三重第3工場(多気町)で第5世代IGZOパネルの量産体制を確立。今後は外販も含め、幅広い用途の液晶パネル製造に乗り出す。
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