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改元でシステム不具合よりも深刻だった“人間の脆弱性”ITりてらしぃのすゝめ(3/3 ページ)

» 2019年05月15日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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 私の場合、そのアプリは漢字かな変換エンジンの「ATOK」です。また汎用スプレッドシートの「Excel」も元号対応があるとありがたいので、すぐアップデートしました。ATOKだと2019年5月1日の変換候補に「令和元年5月1日(水)」と出してくれます。Excelに関しては、日付を処理するマクロをフル活用したスプレッドシートで影響がないか、早めにチェックしておくべきかもしれません。

改元 ATOKでは日付を入力すると和暦を変換候補で表示してくれる

ITシステム以上に脆弱なのは「人」

 そして元号変更に関する詐欺事件も表面化しつつあります。手口としては、銀行、郵便局のキャッシュカードが「新元号に伴い利用ができなくなる」とだまし、暗証番号とカードそのものを切り替えと称して奪うというものです。狙われるのはやはり高齢者で、元号変更は初めてではないでしょうが「ITシステムが発達して初めての元号変更」なのが攻撃のきっかけになっているようです。

 これに関しては、やはりITリテラシーを付けていただくしかありません。しかし、ほとんどの高齢者はITに拒否反応を持っているはずで、なかなか進んで学ぶことはないと思います。反面、多くの高齢者はスマートフォンを活用していて、孫の顔を見るためにテレビ電話を活用したり、音声入力でメールを書いたり、調べ物をしていたりと、決してIT弱者ではない側面もあります。

 そのため、ぜひ皆さんも実家に帰ったときに、お金と家族を守るためにほんの少しだけITの話をしてみてください。どんなに精神的に強い方でも、だまされたことが分かったらへこみます。それがきっかけで病気になってしまうかもしれません。それは高齢者だけの問題ではなく、私たち社会全体の問題なのかもしれません。

 改元をきっかけにして脆弱性を突くサイバー攻撃はあまり想定できませんが、人の脆弱性を突く「詐欺」はこれからが本番だと思います。改元だけでなく、新札発行、芸能人のスキャンダル、センセーショナルな事故が詐欺被害のきっかけにならぬよう、家族で話し合うことをお勧めします。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。


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